2022年度グッドデザイン賞応募ガイド

交意と交響

審査委員長メッセージ

誰もが様々な不安を感じている中で、人々の希求に耳を澄まして、それに応えようと動く人たちがいます。そのような人たちどうしが積極的に呼応し、交わり動く中から生み出されるデザインは、何かをより良くしたい、人の気持ちに応えたいという、創造する意志に支えられています。この創意こそがデザインの原動力であり、社会の様々な場面でデザインの力が発揮されることが強く求められるようになってきています。
私たちが抱えている課題は、これまで以上に多様化、複雑化しています。これらの課題を解決して心地よい社会にしていけるよう、分野や領域を超えて「意の力」を交えて行かなければならないでしょう。
デザインは私たちの身の回りのあらゆるところに存在しています。それらはお互いに関係し合い、影響し合ってこの社会をかたち作っています。ひとつひとつのデザインが持っている力と、それぞれのデザインを担った人々の意志とを交わらせて、さらに響き渡らせていくことが大切なのではないでしょうか。
そうしてもたらされる動的な状態は、一致や均衡が取れた状態ではないかもしれないし、時には不協和音が生じることがあるかもしれません。しかし望ましい調和を目指して、交響しながら構築されていくプロセスにこそ意義があると思います。私たちにとって望ましい交響の状態を見すえながら、新しいデザインの取り組みがさらに生まれてきているのです。
グッドデザイン賞は、あらゆるデザインの営みが一堂に会する場です。社会に存在する無数のデザインを意識し、それらの関係性がもたらす成果や可能性を読み解き、示すことがグッドデザイン賞の大きな役割であると考えています。
2022年度のグッドデザイン賞で、新しいデザインに出会えること、新しい響き合いがもたらされることを楽しみにしています。

2022年4月1日

安次富 隆

2022年度グッドデザイン賞
審査委員長 安次富 隆

審査副委員長メッセージ

2021年度はグッドデザイン賞を通じてたくさんの「交動と希求」に出会うことができました。デザインの力を今まで以上に多くの人が希求し、交動したことで、生活を、社会を、価値観を変えるデザインが数多く生み出され、それらが今後社会に引き続き、深く、広く、実装されていくことを強く期待させるように思いました。「交わる」という姿勢が、さらに多くの分野に広がり、様々なところで人々が自分たちと違った価値観や技術との交わりを模索しているうねりも感じることができました。
モノやコトを創り、社会に発し続けている私たちデザインに携わる者にとって、無力感や悔しい思いをする出来事が現在進行系で次々に起きています。生活様式の変化や価値の多様化をはじめ、情報の取捨選択の必要性、デジタル化の力、データを収集・分析することの重要性、ものごとのプロセスの透明化など、社会とデザインが向き合うように求められていることの領域が広がり、それが高速で変化するいま、社会を支えるシステムや産業はそのスピードについていけているでしょうか?これまで使い続けてきたブラックボックス化された技術やプロセスが、いまあるべき社会の進化を遅くしてはいないでしょうか?
デザインという同じレンズで社会を様々な方向から見ることができる私たちが、形態や質量、素材や単位、コードやプログラムなどの違いを超えて、お互いの創造する「意」を交わすことによって、今まで諦めていた仕組みや製品や活動ができる可能性がまだまだあると思います。企業や団体だけではなく、何かを創る個人の「意」が交わり響き合うことで、様々なことがデザインの力を得て、さらに進化できると信じています。
グッドデザインは広がり続けています。私たち審査委員もそこに集うデザインの数々に共通点や繋ぐべきアイディアを見つけ、それらをフォーカス・イシューをはじめとする取り組みを通じて発信できるように議論を重ねていきます。様々なデザインをマクロに見通せる機会でもあるグッドデザイン賞を通して、日本だけではなく世界全体の社会や生活がより良くなるヒントを見つけて発信していきます。
今年も、交わりに溢れたこれからの羅針盤になるようなデザインに出会えることを楽しみにしています。

2022年4月1日

齋藤 精一

2022年度グッドデザイン賞
審査副委員長 齋藤 精一

主催者挨拶

2022年度グッドデザイン賞の募集開始にあたり、ご挨拶を申し上げます。
今、世界はあたかもパンドラの箱が開けられたような状態です。一昨年からの新型コロナウイルス感染症は長いトンネルの中にいるような様相を呈し、最近になって国際紛争も勃発して暗い影を落としています。厳しい状況のなかで、働き方、教育、人と人のコミュニケーション、公と民の関係性などあらゆる面で社会や人々に大きなストレスがかかり続けています。
こうした中で、デザインにできることは何でしょうか。デザインは常に人間に問いかけ、目的を見出し、達成する活動です。身近なものから長期の地球規模のものまで、多くの課題を抱える今だからこそ、デザインへの期待が高まっているのではないでしょうか。蓋の空いたパンドラの箱から様々なものが飛び去った後、私たちに残るのは希望です。そしてデザインは私たちの希望となれるように思います。
グッドデザイン賞の使命は、生活、経済活動、そして社会を良い方向に導いていくデザインを発見し、それを社会と共有することです。そして、デザインの役割についての人々の理解を深め、デザインに携わる様々な立場の人と事業を支援し、デザインを通じて社会を発展させることです。2021年度は史上最多の1,608件ものデザインがグッドデザイン賞に輝き、私たちからの希望が託されました。
グッドデザイン賞が対象とするデザインは形のある「モノ」に限りません。人々の行為や社会・ビジネスの仕組みなどの「コト」のデザインもあります。また、近年は国内外を問わず、中小企業や様々な社会貢献や地域づくり活動をする団体などからの応募も増えています。
応募されたデザインは、審査委員が半年近くかけて、様々な角度から審査を行います。多様な視点と知見を備えた審査委員たちがデザインの可能性を読み解き、良さを発見していく審査プロセスは、皆様にとって貴重な体験となるかもしれません。
多くの積極的なチャレンジをいただくことを願っております。皆様の応募を心よりお待ちします。

2022年4月1日

深野 弘行

公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 深野 弘行