2021年度グッドデザイン賞応募ガイド

審査委員長メッセージ「希求と交動」

いま、私たちはコロナ禍の中に居ます。
その中で、誰もが人類は大きな転換期に直面していると感じているのではないでしょうか?
多くの人々が、災難が過ぎ去るのをじっと待つのではなく、これまでの人類史を振り返り、内省する中から、知恵や技術を動員し、新たな未来を切り拓くことを願い、望んでいます。そのような、人々の希求こそが、これから先の人類へと導く原動力になります。

希求という言葉には、祈るような切実な気持ちが籠められています。
希求しているのは人ばかりではありません。
これまでも、人や社会、自然が希求していることはありました。
しかし、声高な要求や欲求の翳に隠れて見えづらかったのだと思います。
奇しくも私たちの活動が、なかば強制的に制限されたことによって、一つひとつの希求が鮮明に見えるようになりました。
いままさに、その静かに希う(こいねがう)気持ちを丁寧に掬い取ることが求められているように思います。そのために、私たちが積極的に交わって感じ合う、交感することが大切なのです。

それにより得られた様々な希求を交え、達成へ向けて動かす、いわば「交動」が、これからのデザインの行為と形象として表れてくるに違いありません。
グッドデザイン賞ではそこに目を向けてキャッチしたいと考えています。
デザインが発する未来への提起にどれだけ共感し応援できるかが、グッドデザイン賞で議論すべきポイントです。
デザインという具体的な存在を通して応募者と審査委員の対話を重ね、お互いの理解を深めて見出されるグッドデザインの総体は、次の時代を拓く力強いメッセージとなり得るのではないでしょうか。

人類繁栄の背景には、禍いを福に変えてきた確かな歴史があります。
禍いから学び、次のステップに進むための知恵と技を人は持っているからこそ、デザインが生まれるのだと思います。
問題を解決するだけでなく、新しい価値を創造していくことがデザインの使命です。
これからの福とは何なのか?そのためには何をどうデザインすべきなのか?
多種多様なデザインが会合するグッドデザイン賞を、そのようなテーマを論じ合える場としたいと願っています。
ぜひ、多くのみなさまのご参加をお待ちしています。

2021年4月1日

2021年度グッドデザイン賞
審査委員長 安次富 隆

審査副委員長メッセージ「交動と希求」

ものごとを創造できる人間は、
社会にとってどんな役割を担うべき存在であるのか?
いま人間に何ができるのか?
具体的に世界をどう変え、社会をどこに向かわせるべきなのか?

我々の生活や世界を変え続けている新型コロナウィルスとの闘いから、何を学び、何を考え、様々な苦しみや悲しみを乗り越えて、どのようにその経験を受け継いでいくのか?
多くの災害で苦しんだこと、悲しんだこと、今なお続くそこからの復興に対して何ができるのか?
身の回りで、遠い世界のどこかで困っている人たちに対して何をすべきなのか?

沢山の答えのない疑問、「?」が私の中でも次々と生まれています。それは、デザインという創作と社会実装に関わる多くの人の中でも同じようにうごめいていることと思います。

デザインは、小さな力を確かなうねりに変え、社会をより良く変える新しいものごとを生み出して行きます。
グッドデザイン賞は2019年に「共振」、2020年に「交感」を、それぞれテーマにしてきました。これらのテーマを通して、私たちが他者や様々なものごとと積極的に関わり、行動を起こす中から生まれてくるデザインに目を向けてきました。そして、モノのデザイン・コトのデザイン・プロセスのデザイン・意識のデザインなど沢山の素晴らしいデザインに出会い、それらが少しずつ確かなうねりになる瞬間も見てきました。
本年度のテーマの一つである「交動」は、さらに広い範囲で人々の間に交感が起こり、それが確かなうねりへと育つよう、「希求」はさらに大きなうねりを起こすために人類が目指すべき方向=アウトカムのデザインを示しています。

デザインは、本来希望に満ちているものです。モノやコトを創造できる人間は、何らかの方法で様々な問題を解決しようと志しているはずです。しかし、実践へと踏み出そうとしたとき、その拠り所となる思想や哲学にまだばらつきがあるように感じます。地球環境改善への取り組み、幸福の定義、テクノロジーに代表される新しい手法との接し方などは、業界や分野、企業や個人といったフレームごとに、お互いに異なったまま推し図られています。
これまで広く多くのデザインを横断的に見続けてきたグッドデザイン賞の役割として、審査を通じて、現時点で人類や社会が望む、進むべき方向を見出せるよう交動を進めるとともに、私たちが切に請い願う、希望の持てる方向をも示せるように貢献していきたいと考えています。
本年も沢山のグッドデザインに出会えることを心から楽しみにしております。

2021年4月1日

2021年度グッドデザイン賞
審査副委員長 齋藤 精一

主催者挨拶

日本デザイン振興会は2021年度グッドデザイン賞の募集を開始いたします。
世界は今歴史的な変革期にあります。私たちがかつて経験したことがない状況は、解決策が簡単に求められるものではありません。このような状況の中で、次第に明らかになりつつある諸課題を解決の方向に導き、望ましい未来を切り開くためには、新しい人材、新しい思想、新しいビジョンが必要になります。
その意味で、デザインに対する期待感もこれまで以上に増していると考えられます。
困難な時代だからこそ、誰もが人間らしく生きられる、希望を感じられる豊かな社会を築いていくためのデザインが必要とされているからです。
近年、デザインは多くの分野で実践され、その有効とされる領域を拡張してきました。
デザインの担い手はますます多様化し、様々な立場の方が、より良き生活、より良き産業、より良き社会、より良きコミュニティーの創出を目指して、新たなデザインの創造に挑戦しています。
グッドデザイン賞は、そのようなデザインの取り組みを、厳正かつ公正な審査によって発見し、賞を通じて多くの人々に共有していただき、次なるデザインの創造につなげていく役割を担っています。それによって、デザインで確かな社会的価値を生み出そうとする方々を応援します。
このため今年度も、受賞価値を一層高めるためのプロモーション活動を積極的に展開してまいります。展示や配信企画を強化して、受賞デザインの紹介と、そのデザインに込められた担い手の思いを世界に向けて発信します。
さらに「フォーカス・イシュー」を通じた提言や、国内外の関係機関との連携に基づいた交流事業などにも取り組み、デザインの可能性をより豊かに広げてまいります。
皆さまのデザインが、それぞれに新しい時代へと導く道標の役割を果たしていることを、グッドデザイン賞を通じて広く社会に共有できるように努めてまいります。
皆さまからの積極的なご応募を心よりお待ちしています。

2021年4月1日

公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 大井 篤