2020年度グッドデザイン賞応募ガイド

審査委員長メッセージ

いま、私たちは国連で採択されたSDGsのように、早急に解決すべき世界共通の課題を数多く抱えています。グッドデザイン賞でも、直近の課題に取り組むデザインが増えてきました。それらに共通していることは、人々の気持ちを感じ取り、それに応えたいという思いをベースにしていることでしょう。そこでは、デザインを介して人と人がお互いの感情を通わせる交感が行われています。表層に見えてくる、しくみや製品は、思いを具体的に機能させるための装置です。装置は技術で作ることができますが、交感は、生来人に備わった言葉を超えたメタレベルのコミュニケーション能力です。デザインでは常に、装置と交感がセットになっています。交感が装置を人や社会に実装させるのです。
この文章を書いている今も、新型コロナウィルスが世界で拡散し続けており、私たちを不安に陥れています。この世界的な問題の根本的な解決は、医学に頼らねばなりませんが、瞬く間に店頭から消えてしまったマスクの問題は、医学では解決できません。この問題を解決できるのは、交感によって得た人の気持ちを勘案した装置をつくれるデザインであると考えられないでしょうか。その装置は、しくみかもしれないし、製品かもしれない。デザインにとって重要なことは、アウトプット方法の違いではなく、装置が人々の気持ちを反映しているかどうかなのです。
グッドデザイン賞への参加の意義の一つは、同じ時代の多様なデザインを俯瞰し、自己のデザインを客観できることにあります。デザインがカバーする領域は拡がり続けており、その表層性だけで比較することはできません。しかし、デザインに含まれる装置と交感を見極めることができれば、自らの立ち位置や、アプローチの適正さについて、デザインの姿形に囚われずに比較でき、未来を明るくするヒントを見出すに違いありません。できるだけ多種多様なデザインが一堂に会することを願っています。

2020年4月2日

安次富 隆

2020年度グッドデザイン賞
審査委員長 安次富 隆

審査副委員長メッセージ

審査副委員長メッセージ

世界はものにあふれています。世界はことにあふれています。それら全てが誰かのアイデアから生まれたデザインであるし、全てが手のかかったクリエーションです。その中で、人々の毎日を少しでもより良く、それを積み重ねて世界をより良く変えようとしているデザインは幾つあるでしょうか?直接的でも、間接的でも、どのような表出を伴っていてもよいと思います。より良くしたい心を持って創っているかが大切だと思います。私はグッドデザイン賞を通して、そんな心から生まれたものごとをできる限り多く見つけたいと考えています。
いまの時代は「新しい地層形成の始まり」とも言われています。そのため、従来の常識が及ばないことがこれからも次々と起こることが予想されます。その原因として、私たちが私たち自身=人間とは何であるか?という哲学的な問いを忘れ、技術革新に没頭してしまった末に世界の変化を見落としてしまっていたのかもしれません。
そんな時代にデザインは何ができるのか?今年もこの大きな問いに対して審査委員との議論を積み重ねて、今ならではの指針を見つけたいと思います。
今年度は一昨年の「美しさ」、昨年の「共振力」の文脈を受け継ぎ、次のステップである「交感」をテーマに掲げます。大きな変化が起きる状況の下で、個の力だけではなく既存の業界やスケール、コトやモノの枠を超えた大きなうねりが必要だと考えます。感覚や感性、感動が交わることで世界中の社会・人に必要なデザインが生み出されると強く感じます。今年も数多くの「交感」する力を持った作品と出会えることを楽しみにしています。

2020年4月2日

齋藤 精一

2020年度グッドデザイン賞
審査副委員長 齋藤 精一

主催者挨拶

日本デザイン振興会は2020年度グッドデザイン賞の募集を開始いたします。
今、世界はこれまでに経験したことがないような速度と規模を伴った大きな変動期を迎えています。誰もが人間らしく生きられる、希望を感じられる豊かな社会を築くために、今ほどデザインの持つ力を発揮していくことが求められている時代はありません。グッドデザイン賞もそのような時代の変化とデザインに対する期待を敏感に受け止め、次の時代の幕開けとなるようなデザインを厳正かつ公正な審査によって選んでまいります。
近年、実に広範かつ多様な人々が、創造的なアプローチを通じて、目標の達成や新しい価値を生み出すために、デザインを積極的に手がけています。
若い世代がデザインを駆使して新しい時代をリードするビジネスイノベーションに取り組んでいます。モノづくり企業が新しいデザインを取り入れて新事業領域にチャレンジしています。SDGs(Sustainable Development Goals)に示されているような様々な課題や目標に対して、デザインによってその解決の道筋を示そうとする人々が増えてきました。街づくりやコミュニティー活性化のためにデザインを活用する人々も増えています。
グッドデザイン賞は、有形無形の幅広いデザインを受け止め、デザインによって新たな社会的価値を生み出そうとする方々を応援します。そのための施策として、愛知県国際展示場で行われる二次審査会において新たに応募者限定の内覧会を行い、内外の応募を一括して観ていただく機会を設けるなど、応募者メリットに配慮いたします。
また受賞価値を一層高めるためのプロモーション活動として、受賞展や「ベスト100デザイナープレゼンテーション」をはじめとする様々な企画を行うほか、「フォーカス・イシュー」を通じた提言、関係機関との国際連携に基づいた海外での交流事業などにも積極的に取り組んでいきます。
皆さまの手がけるデザインが、暮らしや産業の質を高め、新たな社会の活力を生み出すことを、グッドデザイン賞を通じて多くの方と共有できるように努めてまいります。
皆さまからの積極的なご応募を心よりお待ちしています。

2020年4月2日

大井 篤

公益財団法人日本デザイン振興会
理事長 大井 篤