中西元男 対談バックナンバー

 
 

第12回(2000.12.27)



今回は本年度グッドデザイン賞でインタラクションデザイン賞を受賞し、大賞候補にまでなった手話アニメーションソフト「Mimehand II」について、東京・南青山の日立製作所デザイン研究所青山オフィス(FEEL)をお訪ねし、開発ストーリーから、このソフトが生み出された背景となる研究開発体制などについて、同社デザイン研究所所長の川口氏、コミュニケーションデザイン部の松隈氏にお話しいただきました。
(編集部)
松隈 信彦 川口 光男 中西 元男
松隈 信彦
株式会社日立製作所
デザイン研究所
コミュニケーションデザイン部
主任デザイナー
川口 光男
株式会社日立製作所
デザイン研究所
所長
中西 元男
PAOS代表
2000年度グッドデザイン賞
審査委員長
NEXT
中西: 私は以前、全国授産施設協議会という心身障害者施設の全国組織から依頼を受けて、CI開発を手がけたことがあります。そこでは、まず、授産、「産を授けられる」ということではなく、これからは障害者自身も自立していくことが重要だということで、SELP(セルプ)という呼称、ブランドを作りました。これはSELF・HELPの造語、すなわち自立自助です。このSELPであれば海外でも使えるということもあって、いまではその団体も「セルプ協議会」という名称に変わっています。ここでは障害者施設のつくり方について、どういう点に留意して、どう対応するべきかというマニュアルもつくりました。
そのときにぶつかった問題なんですが、もともと授産所というのは、職業教育をして、その人たちが一般社会に出て働けることを前提としてつくられたものです。ところが、授産所を出た障害者は、職場に勇んで入っていきますが、「こんなこともできないのか」と心ないことを言われてショックを受けて戻ってくると、ほとんど二度と外の世界へ出ていこうとしないんです。つまり、社会的にノーマライゼーションが成り立っていないということです。聴覚障害者は、障害者の中でも一番メーカーのラインなどに出ていきやすい人です。ただ、そういう人たちを迎える側が、「こんなこともわからんのか」という話になると、それでおしまいということになりかねない。そういう事例を前から見聞きしていたものですから、今回Gマークでインタラクションデザイン賞を受賞し、大賞候補にまでなった「Mimehand II」には大きな意義を感じています。また、これは大企業だからこそできたチャレンジで、コーポレートシチズンシップの非常に優れた例だと思います。

今回は、このMimehand IIの開発ストーリーを手がかりに、御社の研究開発体制やデザイン開発一般についても話を伺えればと思っています。 まず、Mimehand II開発の背景についてご説明をいただけますでしょうか。

TOPへNEXT
MOTTO'S VOICE