まず、ユニリッチの開発の背景として、私どもの事業の話からしなければいけないと思います。松下電器ではキッチンやバスといった設備商品はけっこう長くやっていますが、事業規模としてはかなり小さい部類に入ります。もともとは、日本の住宅を豊かにしていかなければいけないというところで厨房機器事業部ができまして、その中で、お風呂も空間であるという観点から事業化されてきました。ただ、この分野には専業メーカーさんが多々いらっしゃいますし、今でもシェアは数%ほどです。
座・シャワーの開発がスタートしたのは1990年でした。今で言えばユニバーサルとかバリアフリーになりますが、開発当初の着想点は都市部の若い方はバスタブに入らないという生活スタイルに合った、新しいシャワーライフを創り出せないかというところにありました。ここから、もたれたり、座ったりしてシャワーにかかることができるものという原型を作ったんです。奇しくもこの年から全社的に「フレンドリープロジェクト」という、人にやさしい商品づくりがスタートしましたので、それにも沿って、いろいろ実験する中から、お年寄りも含めた商品に仕立てていこうということになったわけです。
この座・シャワーを商品化し、評価をいただいて、いろいろなご意見をいただく中から、お風呂の基本機能として求められているものが明確になり、松下電器のバスに対する考え方のベースが形作られていったのだと思います。それは、体を洗うこと、最近ではリラクゼーション、癒し、そして、家族のコミュニケーション、介護という中での人と人の接点といった場面で果たす機能があるなということがだんだんと分かってきたんです。そこで、お風呂自体をそういう発想でやってみようということで、一昨年、われわれの発案で社長プロジェクトがスタートし、それからユニリッチの開発を続けてきました。
このように開発当初から確固たる戦略を立てて進めてきた結果として生まれてきたわけではなく、いわば松下流のものづくり、まず商品に落として、ご意見をいただいて、また新たな開発に生かしていくという連環から、生まれてきた商品だと思っています。