マグロは瞬間的に時速160kmを出すと云われています。形状抵抗での面では、イルカ、シャチなどが抵抗の少ない形とをしていると思います。実はサメは、ヒトと同様に形状的な面から見ると決して低抵抗のスタイルではありません。ところが、獲物を狙うときなどは、非常に素早く泳ぐ事ができます。この秘密は、皮膚構造にあったんです。表面は、ツルツルの方が抵抗が少ないように思えますが、意外や意外、サメの皮膚構造は、小さな小歯状突起が体側に沿って形成され細い溝のようになっています。この小歯(溝)が、皮膚表面の水の流れを整え抵抗を減らしているんです。レース用のヨット船底にも同様の細かな溝のシートが、貼り付けてあり抵抗を下げる事は判っていましたから、自然界に住むサメの皮膚構造とヒトが開発した機能とを一つにして新低抵抗素材を完成させました。
今回の低抵抗水着の開発の中で素材と共に重要なテーマに挙げたのは、体形補正からくる形状抵抗の削減です。水泳時に受ける水抵抗により筋肉振動と筋肉変形を防止するため従来の素材から約2倍の伸張力を持たせ、身体全体を覆い形状抵抗を削減しています。せっかくのパワー素材がかえって運動動作を妨げないよう筋肉の部位毎の切りつないだようなこのシルエットが生まれました。
開発を進める上で、過去、ソウル オリンピックから蓄積した基礎データが役立っています。データを取るために何をどうすれば良いのか? 既存のものと比べどれくらい数値が下がったとか、数値の裏付けがあったことはある意味やりやすかった点です。ただ、パターンの最終決定は、非常にアナログ的な部分があります。選手の方にモニターをお願いして、着用して頂く訳ですが、私たちのパターナーが伺い、選手の方の意見を集約してある部分カンと経験でパターンを修正していく作業となります。PC上でパターン修正は行う訳ですが、最終的にはヒトに頼る事になるのです。