今年度のグッドデザイン大賞を受賞したA-POCの一番ショッキングなところは、イノベーション、革命であることです。デザインはそこが非常に重要です。
いま、日本人が個の自立という方向を強め、量産を行っている産業が抱えている課題は個別対応です。個別対応と量的対応のバランスをどう取るかは、量産技術では世界を制覇した日本企業が抱えている大きな課題です。A-POCがおもしろいのは、私はこういうものがほしいと最初にインプットすることよって、量産のメカニズムと合わさりながらそれが出てくるところにある。ここに一つの利点があり、個別対応と量的対応を兼ね備えた生産革命システムとして評価できる。
それから、これはデザイン・製造・販売のバーチカルインテグレーションで、材料から最終商品までが一貫している。通常、アセンブルするところが増えれば増えるほど人間の手間がかかります。ところが、A-POCはシームレスでやってしまうことによって、洋服をつくるときの手作業部分を解決してしまった。そこまでを組み込んだバーチカルインテグレーションもすごい。これも評価ポイントとして、ぜひ皆さんにわかっていただきたいところです。ただし、量販につながってこそコストパフォーマンスは上がり、この利点が活かせます。
ほかの大賞候補が改良、リノベーションであったのに対して、これはひょっとすると革命、イノベーションでないかと申し上げたのは、まさにそのへんをトータルに可能性の芽として含んでいることをわかっていただきたかったからです。