中西元男 対談バックナンバー

 
 

第8回(2000.9.30)


今回は中西元男氏とGマーク事業への出会いから、同氏が現在計画中の事業「ワールドグッドデザイン」にいたる経緯をインタビューしました。

(聞き手:日本産業デザイン振興会 Gマーク事業部)
中西 元男
  中西元男
PAOS代表
2000年度グッドデザイン賞審査委員長
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Gマーク: 中西先生にGマークの審査委員を初めてお願いしたのは6年前の1994年でした。この年は施設部門(現:建築・環境デザイン部門)が新設された年に当たります。この時期は、施設部門の立ち上げにあたって、従来の商品デザインの領域を越えた建築物という対象の評価について、Gマークとして明解な基準が求められた時でした。ここにおいては社会価値の質的充実や社会的価値としてのデザイン、事業装置としてのデザインといった観点からの評価すべきであると考え、審査委員にもいわゆるデザイナーや建築家だけではなく、経営としてのデザインというマクロな視点を持った方をお招きするべきだとの話になりました。そこでまずは中西先生に審査委員をお願いすべきだと考え、一つの転換期をうまく舵取りをしていき、デザインが評価すべき建築の価値を生み出していただきたいと事務局は考えました。それから4年間、施設部門を担当していただいたき、Gマークが対象とすべき建築、見定めるべきポイントが確立され、建築領域の方からも認識してもらえるものになったと思っています。
その後、この事業が1998年に民営化され、次なるビジョン構築・ビジョン提示が求められた際に、「全体の委員長」として改革の指揮をとっていただき、デザインの新しい動向に対応した21世紀型のデザインプロモーションをつくりあげるという目標に対して、Gマークの基礎設計を中西先生にお願いいたしました。まずは、施設部門の審査を通して感じられたGマークの存在意義や問題点などについて伺いたいと思います。
中西: 中西さん施設部門からGマークに関わるようになったのは非常に良かったと思っています。Gマークの屋台骨を支えてきたようなプロダクトの系統の連続体として見たGマークは、モダンデザインの延長上にある、あるいは世間ではGマークスタイルという言い方で、幅広くいろいろなデザインがある中のワン・オブ・ゼムのようにGマークが捉えらる傾向がある。それはいいデザイン、悪いデザインというより、デザインの一つの傾向という捉えられ方として形づくられてきたのではないかと思います。そういう累積を払拭していくことは、歴史の長い部門にいきなり入ると非常に難しかったと思います。

デザインというのは産業革命、マスプロダクション、マスコミュニケーション、マストランスポーテーション、いわゆるマスと結びついた量の質を追求するところが基本にある。しかし、施設そのものは、一品性という性格を持っています。ほかの建築賞は、まさにこの一品性の建築の作品的価値を評価しますが、Gマークの施設部門では一品性の作品主義あるいは造形至上主義ではない、街や地域を埋めていくデザインの質としての施設・建築を考えるとなると、当然人間との関係が一番の生命線である。一品性の作品賞がGマークの特徴ではなく、そういう部分も包含しながら、むしろ量的なグッドデザインとは何かを一つの価値体系として持っていくことが、Gマーク制度の使命かなと考えました。となると、これは日本人の生活にとってインフラストラクチャー、生活基盤にしていくことこそ重要ではないかと考えました。僕は、一つひとつの商品をデザインするよりは、いいデザインを生み出す仕組みをデザインすること、「デザインビジネスそのものをデザインしていく」ことの重要性、そしてそういう人がたくさんいてくれたほうが、日本のデザインあるいは日本人にとってのデザインは幸せになるのではないかと前々から考えてきました。

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