施設部門からGマークに関わるようになったのは非常に良かったと思っています。Gマークの屋台骨を支えてきたようなプロダクトの系統の連続体として見たGマークは、モダンデザインの延長上にある、あるいは世間ではGマークスタイルという言い方で、幅広くいろいろなデザインがある中のワン・オブ・ゼムのようにGマークが捉えらる傾向がある。それはいいデザイン、悪いデザインというより、デザインの一つの傾向という捉えられ方として形づくられてきたのではないかと思います。そういう累積を払拭していくことは、歴史の長い部門にいきなり入ると非常に難しかったと思います。
デザインというのは産業革命、マスプロダクション、マスコミュニケーション、マストランスポーテーション、いわゆるマスと結びついた量の質を追求するところが基本にある。しかし、施設そのものは、一品性という性格を持っています。ほかの建築賞は、まさにこの一品性の建築の作品的価値を評価しますが、Gマークの施設部門では一品性の作品主義あるいは造形至上主義ではない、街や地域を埋めていくデザインの質としての施設・建築を考えるとなると、当然人間との関係が一番の生命線である。一品性の作品賞がGマークの特徴ではなく、そういう部分も包含しながら、むしろ量的なグッドデザインとは何かを一つの価値体系として持っていくことが、Gマーク制度の使命かなと考えました。となると、これは日本人の生活にとってインフラストラクチャー、生活基盤にしていくことこそ重要ではないかと考えました。僕は、一つひとつの商品をデザインするよりは、いいデザインを生み出す仕組みをデザインすること、「デザインビジネスそのものをデザインしていく」ことの重要性、そしてそういう人がたくさんいてくれたほうが、日本のデザインあるいは日本人にとってのデザインは幸せになるのではないかと前々から考えてきました。