中西元男 対談バックナンバー

 
 

第7回(2000.8.31)


Before
河原林: 私たちがGマークをどのように捉えているかについてですが、大きくはビジネスとしてのお客さまに対する面、社内の組織やデザイン部門に対する面、それからデザイナーという個人の面、そうした面からメリットをとらえています。

河原林さん第1に、われわれのお客さまであるユーザーやカスタマーに対して、グッドデザイン賞を受賞している商品である、同時にグッドデザイン賞を獲得している企業であるという、広報的な効果があります。第2にわれわれはグッドデザイン・グッドカンパニー、あるいはグッドデザインカンパニーであるという意識を内部的に形成しようとしていますので、グッドデザインを多く創出できる会社だという社会的な評価をいただけることは大変なプラスになると思っています。デザインの貢献、評価の問題については常に社内的に議論されていますが、特に経営陣に対しては、こうした社会的評価が尺度として一番わかりやすいのです。
また、Gマークを受賞すると表彰状をGマーク商品の企画、設計に携わった事業部や工場などの関係者に、お礼の意味を込めて披露しにいきますから、そこで一体感が生まれる。グッドデザイン商品という社会的に評価されるものを一緒につくったという共有感は、関係者のモチベーションを非常に高めます。それによって、次の仕事がスムースに進むというケースもあります。第3は、受賞すると創作者、デザイナーとして個人名が記されることです。これは担当デザイナーにとっては大変な励みになります。対外的に自分の名前が出ていくということは、創作に対するプライド、クリエイターとしてのやりがいに結びついています。彼(彼女)はこういうことで活躍しているなということが、モノを通じて感じられるということも刺激になるでしょう。部内的にも、あの人は今年Gマークを取ったんだという話が出てくると非常にモチベートされます。

もう一つの、われわれがグッドデザイン賞にどういうスコープを持つかについては難しい問題です。現在のわれわれの仕事そのものがハードというモノから、ソフトあるいはサービス、コンテンツといったコトを創り出す方に移りつつあります。ハードのGマークは社会的にもPRしやすいし、わかりやすいですね。ところがソフト領域では、このメリットがちょっと見えにくくなってきています。それをどういうかたちで価値変換していくかがGマークの課題ではないかなという気がします。

産業構造も変わっていますし、生活文化もソフト化の方向にありますが、ただ、メーカーの立場から言わせていただくと、それは必ずハードを介したかたちで起こることも事実だろうと思います。われわれの仕事も半分以上はソフトの領域に関わっていますが、ハードとソフトが対比したかたちであるのではなく、ハードを介してのソフトでもある。ハード的な解決でもなく、ソフト的な解決でもない、これらが融合したかたちの新しい価値創造的な解決が求められるようになってきました。それはデザインというよりはその上位の概念で語られるべきで、グッドバリュークリエイションという視点がこれから出てくるのではないかと思っています。このバリュークリエイターのような部門なり組織が新たな価値の連鎖を生み出し、その中でビジネスモデルが作られていくというときに、デザイナーがさらにコミットしていく。そこがデザイン部門の新しいコアの競争力、コア・コンピタンスになっていくのではないか。それをサポートしてくれるのがこの賞であれば、デザイン界に新しいページを開いていくのではないかと思います。

中西: 中西さんGマークを考えていく上で重要なことは、最近だんだんソフトの領域が増えてきたことです。モノではない、通信ネットワークの仕組みのようなものまでが出てくるようになった。われわれが考えている以上に、デザインは広く捉えられていることは応募の内容からもわかります。今年の新領域デザイン部門は、わりと時代の先端を行くようなものばかりが新領域だと捉えられているようですが、これは必ずしも正しくありません。新領域という名前を付けた理由は、先に行くということと、横にもデザイン領域を広げたいということと、過去のものでも新しい光を当てて、デザインによって、もう一度蘇生させることもあるではないか、という意味を込めたつもりだったのですが、説明が足りなかったために、そこのところがなかなか理解されていない。
いまは大きな転換期ですから、どのジャンルに入るのかよくわからない事象がたくさんありますし、デザインの世界からいうと、それをなるべくデザインのほうに取り込んでいきたいという思いもあります。そういうデザインの広がりに対してもできるだけ理解を広げて、分野の中に入れておく。モノづくり的デザインだけでは、特別な専門職、特別な職能だとみなされることによって、いままでの概念から抜け出せない。ここを自ら破るためにも、これもデザインかと思えるようなところまでデザインの領域に入れて、然るべきポジショニングを与えることによって、デザインの影響領域、あるいは価値をつくっていく。先ほどバリュークリエイターというお話がありましたが、まさにバリューをつくっていく範囲を広げていきたいと言い換えてもいいと思います。

そうした中で、グッドバリュークリエイターが企業の中からたくさん出てくるということは、非常に期待すべきことだと思います。ではそのグッドバリュークリエイターの役割を誰が受け持つのかとなったときに、デザインに関わる仕事をする人たちはかなり近いところにいるのではないかという気がします。日本の場合、特にプロダクト系はインハウスに優秀な方がたくさんいらっしゃいますから、そういう方たちが、企業の中でも、社会的にも、市場的にも、いままでとは違ったありようにうまく変換していって頂ければ、日本独自の新デザイン分野ができ上がるのかと思います。

デザインの領域と同様、デザインを取り巻く環境も変化しています。新聞というメディアが国民をつくった、テレビというメディアが市民をつくったと言われますが、テレビがつくった市民はある種、群としての市民です。これまで大企業が目指してきたところは、どう群市民をつくったり、とらえたりするかということによって、マスの効果、あるいはロット効果を狙っていくことだったと思います。これが現在では、市民がだんだん群として捉えづらくなってきた。そうした傾向に対してITをどう導入するかというところに非常に大きな課題がある。

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河原林: 企業あるいはビジネスにとって、モノを送り出す、コトを送り出す、サービスを提供するということが、相手をお客様としてとらえているために、どうしてもワンウェイになってしまっているのではないでしょうか。ところが、最近いわれているヒューマンセンタード・デザインに代表されるように、お客様としてではなく、一市民、一生活者として捉える中からスタートしようという考え方が現れてきました。ワン・トゥ・ワン・マーケティングはまさにそこだろうと思います。そういう視点になると、インタラクティブということ以上に、むしろサイクリックに、あるいはスパイラルに回るような新しい概念のパターンが生まれてくるのではないかと思っています。これは日本的という言い方はあえてしたくないんですが、ITをわれわれ側が咀嚼したときに、そのアドバンテージをうまく使えるのはそういうところかなという気はしています。

ITの時代においては、時間や空間の制限がなくなるのと同時に大企業、小企業の差がなくなる。同時に個人と企業という関係になってきて、ボーダーがなくなってくると、商品づくり、あるいはサービスのワン・トゥ・ワンの領域がクローズアップされてくる。いままでデザインをやるプロセスでは、あるマジョリティなりマスをイメージし、それに対する最大公約数的なものをベースに、そのバリエーションで個々の多様化に対応するという考え方でした。ここからもう少し踏み込んで、原点のユーザーや生活者の意見とデザイナーが「共創」したかたちでデザインが生まれてくることに、企業活動がうまくシンクロできないか。そういう接点づくりをわれわれも模索しているところです。

一方、新たに現れてきた問題として、ITやネットワークをベースにクリエイションをしたときに、クリエイティビティのオリジンが見えなくなるということがあります。共通のネットワークを使って、世界中の事務所とアイデアを募集したり、それを自由に膨らませたり、メッセージボードや会議室でわいわいやるということが導入されてくると、そのオリジナルの所在がだんだん曖昧になってきます。かつては属人的であったのですが、今では必ずしも属人ではなく、属組織とか属ネットワーク、あるいは属情報という面でクリエイティビティの概念の中にオリジナリティが生まれようとしています。今は、ある意味ではクリエイティビティを共有する時代で、昔のように誰にも見せない、囲い込むという時代ではなくなってきています。このようにクリエイティビティという概念が大きく変わろうとしています。この新しい考え方は、われわれもそろそろ整理しなければいけないと思っています。

中西: ワン・トゥ・ワンマーケティングがいろいろなかたちで実現できるようになってきましたが、僕が最近難しいなと思っているのは、ユーザー、カスタマーを新しいデザイン開発、新しい商品開発の中に取り込んでいくというときに、実はユーザー自身が本当に自分は何がほしいのかわかっていないということです。それがいまのマーケティング状況で一番難しい。ただ、買いたいという欲求は確実にあるし、「欲しかったもの」が世の中に送り出されると、そこに飛びつくという状況がある。いたちごっこみたいなところはありますが、このやりとりをうまく活用しながら日本は成熟化社会に入っていくのではないかというようにも思えます。
河原林: 既存のジャンルの次のものは比較的出やすいのでしょうが、新しいサービス、新領域となりますと、ユーザー自身がどういうニーズを持っているかということがすぐには見えてきません。私どもは調査段階でVOC(Voice of Customer)スタジオとかで深層心理や潜在的なものを引っ張りだすということをしていますが、それだけで決められるというところまではたどりついていません。
モノづくりは、ある意味ではトライ・アンド・エラーの世界です。マーケッティングではまさにそうですが、絶対当たるものをつくるというよりは、その精度をどんどん上げていく作業だろうと思うんです。マーケティング精度を上げていって、最後にピンポイントにたどりつくようなことをすると同時に、マーケットそのものをクリエイトしていく。その両方をするには、一企業の枠だけではなかなか難しい部分があります。いまやろうと思っているのは、いろいろな視点、視野からビジネスをやっておられる異業種企業との交流です。これは非常に有効な一つの方法であろうと思います。グローバルなパートナーシップとか、いままでのフレームではないデザインの視点が生まれてくるだろうと思います。
中西: 中西さん日本の業界はどこかで常に共存共栄という発想があって、それが工業化社会では非常に効果的だったのですが、情報化社会になってきたときに、それによって逆にマーケティング的な競争力が弱くなってしまっていた。情報化社会でのマーケティング競争力は、イメージやブランドの問題を含めた情報価値のトータルな争いになってきますから、むしろ「競争共栄型」にしておいたほうが結果的には強い。その面で遅れを取ったのが、いまの日本の企業ではないかと私は見ています。
従来は同業界のお隣さんが競争相手だったんですが、ある商品のバーチカルな流れの中で見ると川下との競争であったり、異業種との競争であったりということが、いろいろなところに現れてくる。そういうことで、業種によって競争形態が大きく違うということがありますから、そこから学ぶものは非常に多い。だから、競争共栄状態の中での企業個性や経営品質のあり方が、これから企業にとって大事なのではないかと思います。ただ、インハウスのデザイナーがこういったマーケティング的カオス状況を的確に把握するのが非常に難しくなっているのではないかと思うのですが。
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河原林: 二つありまして、情報に対する感度は努力すれば上げることができると思いますし、われわれ自身も常にそういう努力をしています。もう一つはスピードです。速く情報をキャッチして、いかに速くデザイン化するか。これがいま特に強く問われています。アメリカのスピードからすると日本は非常に遅いですね。いまの企業活動の中で、スピードを争う部分は日増しに強くなっています。ただ、それはわれわれも努力しているんですが、社内もそうですし、世の中の動きも加速させる力がまだまだ弱い。それはわれわれインハウスのデザイン部門の課題だろうと思います。
われわれが具体的な施策としてやっているのは、社内のプロジェクトごと、サービスごとの共通の電子プラットフォーム、CAP(Computer Aided Planning)という場の提供です。これにはリアルタイムのマーケット情報、様々な意見といった、新たな情報をそこに次々にロードしていって、それをチームでシェアする。これによってプロジェクトに関わっている人たち全員が同じスピードで動けるようにしています。アメリカの量販店の情報が翌日に載る、秋葉原の情報が載る、あるいは生活者のアンケートの情報が載る、そういうかたちで集積度を上げながらやっています。

ただ、いくらデータがリアルタイムで集まっても、それを判断するのは人間ですし、それに価値を与えるのも人間です。そこのいわば人間系のところがきちんと機能していかなければなりません。そこはデザイン部門がまさに切れ味を発揮する、あるいはリーダーシップを発揮することができる場だろうと思います。

中西: 最近はモノ売りというよりは、モノが生まれてくる背景の価値体系、あるいは哲学に牽引させることによってモノの価値を認めてもらう、そうした商品が確実に売れるようになってきていると思います。自動車の例でいうと、トヨタのプリウスもそうですし、最近のソーラーシステムハウスを見ていても、パネルが付けやすい住宅が売れるようになっている。これは言葉を換えれば環境哲学購買で非常にいい流れだろうと思います。
ただ、そうなってくると、これら全てがデザイナーの守備範囲、責任範囲なのかという問題もあり、そういう体系を含めてのクリエイティビティという新たなる競争になってきている。それは商品化の意思決定がどこでなされるかという問題もあると思いますが、企業としてどういう守備体系でクリエイティビティを持っているのかが問われます。
河原林: 河原林さん時代の流れの中では、変化を求める時期もありますが、いまは着実な進化が問われているのではないでしょうか。進化するということは、目先を変えなくてもいいのかもしれません。古いものでも、成熟したものでも、それをビジネスとして差異化、区別化するようなことはあると思います。しかも、単なる思い込みでやるのではなく、哲学や理念によって裏付けすれば、市場の共感を得られるということです。それはこれからのものづくりなりサービスの提供は、世の中の動きで左右に振れることなく、あるベクトルを示していくことが大事だと思います。
いまそのコンパスになるものが、非常に錯綜していて一本に絞れないのは事実だと思います。答えが複数ある時代です。いままではそれを強引に一つにしようとしてきたから、いろいろ問題があったんですが、答えが複数だということを前提にすると別の展開が見えてきます。

モノには差別化と均質化というサイクルがあります。どこかで新しいモノが出ると、数年でそれが世の中に普及して急速に均質化していく。均質化するとまた差別化が起こってくる。このサイクルを是とすれば、企業は常に差別化するものを出すのだということになりますが、差別化は必ずしも進化にはつながっていません。変えるということが差別化とイコールとすれば、いまのような時代に果たしてそれでいいのか。変化には何らかの進化が伴う必要があるのではないか。進化を伴った変化は、差別化というよりはむしろ区別化と呼ぶべきで、差をつくって分けるのではなく区別する。自分のドメイン、カテゴリーを創り出すことで相対的に区別を創り出すことの方が共感を得るのではないか。私自身はそう考えています。

中西: いまは最適解はいくつもありますが、何が正解かわからない時代です。その点でいえば、唯一正解主義ではない、いくつも答えがあるからこそ正しい時代で、いろいろな選択肢があるわけです。マーケティング的にいえば、価格訴求であったり、品質訴求であったり、あるいはイメージ訴求であったり、その複合系であったりと、いろいろと揃っていること自体が、いまの時代の価値体系だろうと思います。

このように価値観が熟成された、成熟時代になっていくと、従来の縦割り、上から下への発想でものをつくっていくということからは、成功策が生まれにくくなってくる。いろいろな分野の相互嵌入の状況からものをつくっていくというかたちなって、その点ではデザインはどこにでも絡めるという特質がありますから、企業内においても役割が変わりつつあるのではないかという気がします。

河原林: 企業デザイナーは、いままではどちらかというと器用貧乏というか、企業内でボランティア的に領域の拡大を行ってきました。たとえば商品企画まで踏み込んでやっていますとか、設計もある部分で新しいメカを含めて提案していますとか、手柄話がよく聞こえてきます。しかし、これは相手にとっては自分のところを侵されたという思いは全くなくて、ボランティアでやってもらったと捉えられています。つまり価値を認められたかたちではありません。
企業内で本当にデザイン部門が高度化していこうとすると、広く浅くというよりは、深化したかたちで専門性を持った提案をしていかなければなりません。だから、デザイナーもコアとなる能力をきちんと持っていくことが必要だろうと思います。
中西: 大分以前ですが、オリベッティの商品開発調査で、なるほどなと感心したのは、デザイナーと生産部門の間にリエゾンオフィサーという役職があることでした。ラインはつくりやすいことを求めるでしょうし、デザイナーはいままでにないような新しさを求める。その間をリエゾンオフィサーが取り持って、最終的な決定権限はリエゾンオフィサーにある。そのために、他社にはないような新しいデザインの商品が出てくる。こうした仕組みがないかぎり、どちらか強いほうに、どちらかが従属するというかたちにしかならない。
このような、リエゾンオフィサーの新版がそろそろ必要なのかもしれません。それはデザイナーと生産ということではなく、もう少し広い、マーケティング戦略とデザイン、あるいは生産、流通を含めたかたちのリエゾンオフィサーみたいな調節機能がないと、どちらかがどちらかを侵すことになる。日本の場合は侵さず、侵させずということでやってきた傾向がありましたから、これまでとは別のかたちでブレークスルーする仕組みが必要になってきているのかと感じています。

最後にお聞きしたいのは、最近はブランド推進室をトップ直轄でつくることが大流行です。物的価値と情報価値といったときに、企業全体の情報価値をブランドに凝縮するという話はよくわかります。東芝ブランドはグローバルなブランドですが、デザイン活動との関係はどのようにとらえておられますか。

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河原林: 中西さん今日のような連結経営時代にあっては、ブランドは単にコーポレートのためではなく、グループの資産としての価値を持つようになっています。そうするとブランドは、対外的な価値とグループの求心力としての価値といった両面からくくられていかなければなりません。
その中でデザインは、ユーザーやカスタマーに見える部分に関わっています。まさにビジュアルな面での影響力が高いと思うのですが、デザイン部門がそこだけに関わっていては単なる技術論で終わってしまいます。最近コーポーレートコミュニケーションといった、より上位の言葉に置き換える動きもありますが、戦略性にコミットしていかなければなりません。昔から製品は最大のメディアだといわれていて、そこでプロダクトアイデンティティを保てばいいとか、コーポレートカラーとか、いろいろ言われてきましたが、それはテクニカルな各論のレベルで、マインドなりフィロソフィが入ってきません。
特にグローバルなオペレーションを展開していく中では、統一することが必ずしもブランドではなく、フィロソフィを見せていくこと、価値をいかに高めていくかが重要です。これは必ずしもわれわれ自身のみでなしえたわけではありませんが、経営トップによる交渉、機関投資家への説明というときに、デザイン部門が少しずつコミットするようになってきました。会社の事業ドメインをビジュアル化するにはコンセプトやビジョンマップ等をプレゼンテーションすると反応が大きく、意思決定を早める。企業価値を高める上で経営トップもそういうことに対して、有効な部分があるという認識をしていますので、一つのチャンスだと思っています。
経営活動そのものにかかわっていく、特にビジュアルなところがわれわれの一番の得意技ではありますし、これをコアに戦略的なところに関わっていく。デザイン部門のポテンシャルとして、デザイン以上のことを発揮できるところにあります。ただ、それをわれわれがどう攻めいくのかということは、新たな課題だ思います。

これはブランドだけの問題ではありませんが、デザインはデザイン以外の方、あるいは経営のトップから見ると、表現という領域で見るステレオタイプのイメージがあります。だから、われわれの機能が表現だけに閉じ込められて、コストとしてしか理解されないと、安くてもっといいものを外から調達しようという話になる。それはわれわれが負けているわけで、経費ではなく、ミッションとしての評価に繋げていかないと、会社の中での地位は確立できません。

デザインはどうしても作品的な価値観になりやすい。そのほうがやりやすいところがあって、そこをやっていれば間違いなくできるし、形に見えた成果も出てくるのです。しかし、そこに止まっていては新しいミッション、新しい領域を開拓していくことは困難です。自分の慣れた土俵でやろうという習性がまだまだある。それを突き破るということが、マネジメント上の一つの課題だと思っています。

中西: 長時間にわたりどうもありがとうございました。今後ともGマークにご支援と応援をぜひよろしくお願い申し上げます。
(2000年8月3日 東京・芝浦の株式会社東芝 デザインセンター会議室にて収録)
  ●河原林 桂一郎
(株)東芝 デザインセンター 所長
グッドデザイン賞検討委員会 委員

●中西 元男
PAOS代表、2000年度グッドデザイン賞審査委員長

  PAOSのHP:
http://www.paos.co.jp/

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