私たちがGマークをどのように捉えているかについてですが、大きくはビジネスとしてのお客さまに対する面、社内の組織やデザイン部門に対する面、それからデザイナーという個人の面、そうした面からメリットをとらえています。
第1に、われわれのお客さまであるユーザーやカスタマーに対して、グッドデザイン賞を受賞している商品である、同時にグッドデザイン賞を獲得している企業であるという、広報的な効果があります。第2にわれわれはグッドデザイン・グッドカンパニー、あるいはグッドデザインカンパニーであるという意識を内部的に形成しようとしていますので、グッドデザインを多く創出できる会社だという社会的な評価をいただけることは大変なプラスになると思っています。デザインの貢献、評価の問題については常に社内的に議論されていますが、特に経営陣に対しては、こうした社会的評価が尺度として一番わかりやすいのです。
また、Gマークを受賞すると表彰状をGマーク商品の企画、設計に携わった事業部や工場などの関係者に、お礼の意味を込めて披露しにいきますから、そこで一体感が生まれる。グッドデザイン商品という社会的に評価されるものを一緒につくったという共有感は、関係者のモチベーションを非常に高めます。それによって、次の仕事がスムースに進むというケースもあります。第3は、受賞すると創作者、デザイナーとして個人名が記されることです。これは担当デザイナーにとっては大変な励みになります。対外的に自分の名前が出ていくということは、創作に対するプライド、クリエイターとしてのやりがいに結びついています。彼(彼女)はこういうことで活躍しているなということが、モノを通じて感じられるということも刺激になるでしょう。部内的にも、あの人は今年Gマークを取ったんだという話が出てくると非常にモチベートされます。
もう一つの、われわれがグッドデザイン賞にどういうスコープを持つかについては難しい問題です。現在のわれわれの仕事そのものがハードというモノから、ソフトあるいはサービス、コンテンツといったコトを創り出す方に移りつつあります。ハードのGマークは社会的にもPRしやすいし、わかりやすいですね。ところがソフト領域では、このメリットがちょっと見えにくくなってきています。それをどういうかたちで価値変換していくかがGマークの課題ではないかなという気がします。
産業構造も変わっていますし、生活文化もソフト化の方向にありますが、ただ、メーカーの立場から言わせていただくと、それは必ずハードを介したかたちで起こることも事実だろうと思います。われわれの仕事も半分以上はソフトの領域に関わっていますが、ハードとソフトが対比したかたちであるのではなく、ハードを介してのソフトでもある。ハード的な解決でもなく、ソフト的な解決でもない、これらが融合したかたちの新しい価値創造的な解決が求められるようになってきました。それはデザインというよりはその上位の概念で語られるべきで、グッドバリュークリエイションという視点がこれから出てくるのではないかと思っています。このバリュークリエイターのような部門なり組織が新たな価値の連鎖を生み出し、その中でビジネスモデルが作られていくというときに、デザイナーがさらにコミットしていく。そこがデザイン部門の新しいコアの競争力、コア・コンピタンスになっていくのではないか。それをサポートしてくれるのがこの賞であれば、デザイン界に新しいページを開いていくのではないかと思います。