では、Gマークとしてのグッドデザインはどうするのと言われると、いま申し上げていることについて日本のデザインインフラをつくっていこうとするときに、どうしてもモデルをつくらざるをえない。"Good Design is Good Business."と標榜する時に、何がグッドデザイン、グッドビジネスなのかという事例の存在が余りにも少ないのがいまの状況だと思うんです。やはり、いいデザインのものは売れるという事例、あるいは売る仕組みをつくることが重要ではないかということです。
最近は大学でデザインマネジメントの講座が流行現象になり始めています。デザインマネジメントには、内なるデザインマネジメントと外なるデザインマネジメントがあると思いますが、デザイナーをどう使おう、デザイン部門をどういう具合に機能させよう、企業の中にデザインをどうやったら取り入れられるかという、内なるデザインマネジメントを中心にやっている。
マーケティングオリエンテッドなデザインマネジメント、あるいはコーポレートマーケティング戦略としてのデザインマネジメントという、外なるデザインマネジメントがなかなかできあがっていない。CIで一度それに成功した企業でもその後の内作化の段階ではほとんど内なるデザインマネジメントにしぼんでしまっている。これはデザイン教育がいまだに美術教育の延長上にあることも関係していると思うんです。だから、デザインがなかなか能動型・攻撃型になれない。もっと言うなら社会的価値の創造者になれない。デザインがビジネスを引っ張っていくという、"Good Design is Good Business."になるためには、ここを変えていく大きな発想の転換をいまや必要としてきていると思います。
ただ、こういうことを説得していくには、サクセスストーリーが重要だと思います。こういう発想で、こういうことをやってみたら、こういう成果が上がりましたよという事例で目覚めてもらうことが非常に重要です。だから、"Good Design is Good Business."は、そうした役割の果たせる好事例をつくっていきたいと思っています。いまの時代のデザインは、グッドデザインをきちっとした情報価値にして、情報価値オリエンテッドなグッドビジネスを成り立たせるようにしていく。これはインターネット時代のデザインビジネスのありようだろう。これを誰かがつくるのではなくて、一番重要なことはデザインの関係者がつくることだと思っています。
"Good Design is Good Business."といった時に、一番受けやすい誤解は、「グッドビジネス」をモノ売りの単体ビジネスとして受け取られることです。時代が変わって情報化社会になってくるということは、情報化社会においてのデザインの重要性という思想売り・哲学売りが先行してモノがついていく、という構造に変えないと駄目だろうと思います。そのためにはデザインにかかわる人たちが、そこのところを共有化して、一般のユーザーや生活者たちに、いいデザインのある生活は楽しいですよ、生活の質、レベルを高めますよということを、きちんと先導していく必要があると思います。そのためにはデザイン関係者、デザイニストは絶対に受け身であってはいけない。時代の先駆者、先導者にならないと、"Good Design is Good Business."は成立しえないと思います。
今日はどうもありがとうございました。