中西元男 対談バックナンバー

 
 

第5回(2000.6.30)



今回は、Gマークの新領域デザイン部門のリーダーである山中俊治氏をお招きし、グッドデザイン賞に新領域デザイン部門が生まれた背景、また、部門として必要としてきている内容とは何かについてご対談いただきました。
(編集部)
中西 元男 山中 俊治
中西元男 PAOS代表
2000年度グッドデザイン賞
審査委員長
山中 俊治
リーディング・エッジ・デザイン主宰
2000年度グッドデザイン賞審査委員
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中西: 審査委員長をお引き受けしての3年間は、デザイン領域というか、Gマークデザインとは何ぞやという領域をできるだけ広げようとしています。その典型的な受け皿が、新領域デザイン部門で、デザインの先端現象をどんどんGマークに出してもらい、積極的に評価していこうと考えています。今回は、Gマークの新領域デザイン部門の代表委員である山中さんと、Gマークに新領域という分野を加えざるをえない背景、また、部門として必要としてきている内容とは何かというお話ができればと思っています。

昨今は新しいものがどんどん出てきて、どの分野が適切なのかよくわからないというものが多く見られるようになってきました。デザインの側から言えば、それらをなるべく取り込んで、領域拡大を図っていくほうがいいのではないかと思います。それによってデザインを常に自由に考え直し続けるという場として、新領域デザイン部門はおもしろいのではないだろうか、あるいはもし新領域という言葉に触発力があるとすると、デザイン界にとっての触発源としていいのではないかと思います。

山中: 実は今回の新領域デザイン部門の審査委員の中で、本職がデザイナーなのは僕だけです。新しい領域を見ていこうとするときに、ただ好奇心豊かなデザイナーが眺めるよりも、その領域の専門家とも言える人にいてほしい。そうするとアートの専門家も必要だし、エンジニアリングの専門家も必要だし、流通に通じた人も必要だしということになる。そういう目で見ると、ジャーナリストの赤池学さんに、東大の機械工学の廣瀬通孝さん(先端科学技術研究センター)、インテリアショップのイデーの黒崎輝男さん、アーティストのタナカノリユキさん、おもしろいメンバーが揃っているという気がします。

山中 俊治さんデザインの領域が広がっていることは間違いない。新領域デザイン部門の審査委員何人かの先生と会って話してみると、みなさんの興味で共通しているのは、デザインはどこまで広がるのだろうかという部分です。工学畑の廣瀬先生は「デザインをそこまで広げてしまうんですか」ということを不安そうに言う。一方で黒崎さんは「ビジネスをデザインするという言葉はいま普通に使っているし、それは必ずしも間違いではない。比喩だけではない部分もあるよね」と言っている。
デザインの領域を広げていくときに、何によって枠がはめられるのかと、僕もずっと考えてきました。その議論そのものが、おそらくデザインの可能性を見据えることになる。だから、今すぐ「ここだ」と決める必要はないのかもしれない。むしろ、ここまで踏み出してもまだデザインと言えるんじゃないかというものをGマークから発信していって、世の中の評価を待つことがあってもいい。

昨年はテーマ部門と呼んでいましたが、いろいろな商品が出てきて、「これもあるかもね」とこちらに気づかせてくれることもあった。こういうものにも出てきてほしいと、こちらで思ったこともあった。そういう中で、どこまでがデザインなんだろうという、領域を確認する場であり、同時にそれを議論していく場としても新領域デザイン部門はおもしろい。
僕が、審査委員を引き受けている個人的な動機は、審査委員同士の議論がエキサイティングで楽しいということです。商品のことやデザインのことをピュアに議論できる場は、意外に少ない。雑誌の対談だと、けっこう広告のバイアスがかかって、言いたいこと言っても削除されちゃうじゃないですか。個々には地方自治体をはじめ、いろいろなところでフォーラムのようなものは開催されるけれども、日本のデザインについてたくさんのクリエーターが集まって、じっくり語れる雰囲気の場としては、実際に物が目の前にあるということも含めて考えるとGマーク審査が一番充実している。そういう意味で、新領域デザイン部門で、デザインの領域について皆さんと話し合えるのを楽しみにしています。

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