喜多俊之 対談バックナンバー

 
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左合 ひとみ
グラフィックデザイナー
左合ひとみデザイン室 代表取締役

2年前から審査に参加したグッドデザイン賞のコミュニケーションデザイン部門で、私は昨年ユニット長を務め、浅い経験ながらも確信を持って推したNHKの教育番組が大賞を受賞しました。産業振興による社会、文化の向上を目指してきたグッドデザイン賞が、形ある「モノ」ではない「教育」をその年の頂点に選んだことは、予想通り物議を醸したようですが、これも時代の変化のひとつの現れと捉えています。教育もあり、建築、環境や新領域まで概念の多様化したデザインの中で相対化されてこそ、原点であった「モノ」の今後のあるべき方向も問われていくのではないかと考えます。
50周年を目前に控えた今年は、国際的に通用する価値を持つデザインを選出して、広く世界に発信していくことになります。いまグローバルな評価を受けるのはどういうデザインなのか、日本のアイデンティティはそこにどのような形で存在するのか、個人的にも興味は尽きません。これまで以上に期待いっぱいで今年の審査に臨んでいこうと思います。

 

1980年東京藝術大学美術学部卒業。パルコ広告制作局、カメレオンを経て、1988年に左合ひとみデザイン室を設立。パッケージやロゴ、ビジュアルアイデンティティ(VI)の作成をはじめとするグラフィックデザインの領域を中心に、企業のブランディングや商品開発、地場産業の活性化など幅広い領域で活動している。これまでに1995年ニューヨークADC銀賞、1998年JAGDA新人賞、1999年日本パッケージデザイン大賞特別賞、2000年全国カレンダー展通商産業大臣賞、ドイツカレンダー展銅賞など多数受賞。また2004年からは朝日広告賞審査委員を務めている。

なお、現在発売中の雑誌「デザインの現場」最新号に、左合ひとみさんがVIを手がけた松本市のレストラン「レ アール ド セゾン・セージ」のデザインについてレポートが掲載されています。

 
 

山中 俊治
インダストリアルデザイナー
リーディング・エッジ・デザイン 代表

品質やコストの面で日本が世界で最も優れた「工場」であった時代は確実に過去のものとなり、これからの日本は、知性や文化を発信する場として国際社会における研究所であり、アトリエであることが求められています。特にアジアの中で科学と文化の先進国として尊敬を集めることに失敗すれば日本の未来はないでしょう。
科学も文化もその神髄は「美しさ」にあります。従って日本の未来を考えると、あらためて「美しさ」が非常に重要な概念になると考えています。現在、日本のデザイン賞には、非常に多くのアジアの国々からのエントリーがあります。このことは日本が「美しさを評価できる国」として認知されつつあることを意味します。しかし一方で、日本が本当に美しいものを作っていると自信を持って言えるでしょうか。今やほとんどの経営者が経営資源としてのデザインを口にするようになりましたが、美しさを消費者の欲望を喚起するものとして捉えるだけでは、世界に対して先導的な役割を果たすことはできません。社会や技術のゆくえをひっぱっていく圧倒的な力を持つ「美しいもの」を見つけて発信する作業が、グッドデザイン賞の役割であると考えています。

 

山中俊治:1982年東京大学工学部卒業。日産自動車で工業デザイナーの活動を開始した後に独立、1994年にリーディング・エッジ・デザインを設立。車両やカメラ、時計などの製品デザインと、さまざまな領域における先進技術やアドバンスデザインの開発まで、ハイテクノロジーを駆使した活動に取り組む。近作として、NTTドコモの放送・通信融合プロジェクト「OnQ」、JR東日本の自動改札システム「Suica」の機器インターフェイス、親指入力日本語キーボード「tagtype」、イッセイミヤケブランドの腕時計「INSETTO」ほか。

なお、山中俊治さんは、これまでの先駆的なデザイン活動の功績が評価されて、先ごろ2004年の毎日デザイン賞を受賞しました。

 
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