川崎和男 対談バックナンバー

KAZUO'S VOICE
 
KAZUO'S VOICE 025「環境と文化のグランドデザイン」

今回は、2002年度グッドデザイン大賞を受賞したモエレ沼公園の開発に計画段階から深く関わられた札幌市長、桂 信雄氏をお訪ねし、長い開発期間を要する環境計画に込められた意図や想いをお話しいただきました。(編集部)

平野 湟太郎 桂 信雄
 
川崎和男 川崎 和男
 
札幌市長 名古屋市立大学大学院
芸術工学研究科 教授
大阪大学大学院
阪大フロンティア研究機構 特任教授
2003年度グッドデザイン賞審査委員長

川崎: 2002年度グッドデザイン大賞の受賞は、本当におめでとうございました。モエレ沼公園計画は非常に見事に、これからのあるべき環境づくりというものを示していただけました。どこかに公園をつくる場合、たいていは木を伐り払って何もないところをまずつくる。ある言い方をすれば、公園をつくるために環境を破壊してしまう。しかしこれはゴミの埋め立て地を放置せずに、そこに新たな活用の仕方があることを提示していただけたと思います。

奇しくも2年連続で公共的な空間設計デザインがグッドデザイン大賞を受賞しました。今回の「モエレ沼公園」計画と実現は、イサム・ノグチという偉大な方をディレクターとして迎えられているということがありますが、彫刻家のイサム・ノグチが手掛けたからすばらしいという評価に偏ったものではなく、イサム・ノグチをディレクターに迎えて具体的なビジョンづくりを託したという、グランドデザインが優れているのではないかという評価でした。2001年度に大賞を受賞した「せんだいメディアテーク」も同じような実例でした。この場合の建築物も、伊東豊雄という日本を代表する建築家に、計画を託しているけれども、いわゆる箱物行政的な解決でなく、行政が主体的にどうやってソフトウェアを組み立てていくかという部分が非常に明快でした。

いま日本は、地方の力が全国に波及していくという時代だろうと思います。仙台市からメディアテーク、今度は札幌市からモエレ沼公園ができたということになります。つまり、21世紀の入口で、これからの日本の行政、ハードウェアとソフトウェアを統合的に捉えていくなかで、それに対して、才能のある人にディレクション、リーダーシップを求めて、革新的な行政計画を仕掛けていくというグランドデザインが、評価としては最終的に極めて圧倒的なかたちとなりました。

そういう意味ではこのモエレ沼公園が、環境という問題と地方からこれからの文化性の発信ということでは、グッドデザインというものを明快に国内そして国外に知らしめることができました。これは大きな意味を持っています。公民館がグッドデザインになる、公園がグッドデザインになるというのは、日本全体に対して、デザインとは何だろうということをはっきりと伝えることができます。なによりも、いい応募をしていただいたということと、そして、札幌市がこれだけのプロジェクトを成し遂げられたというところで、ぜひとも、かなりな苦労話があるはずだと推察しました。是非その点についてお聞きしたいと思います。

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