川崎和男 対談バックナンバー

KAZUO'S VOICE
 


今回は、2002年度グッドデザイン金賞を受賞した軽自動車「コペン」の開発ストーリーやダイハツ工業のデザインマネージメントについて、同社デザイン部の石崎弘文をお招きし、対談いただきました。(編集部)

石崎 弘文 石崎 弘文

ダイハツ工業株式会社
デザイン部
主査
 
川崎和男 川崎 和男

名古屋市立大学 教授
2002年度
グッドデザイン賞
審査委員長

川崎: 2002年度のグッドデザイン賞で、ダイハツさんのコペンは金賞を受賞されました。実は軽自動車での金賞受賞は初めてだということですし、ダイハツさんが応募されたものは100%の受賞率だったということで、まずは本当にすべからくですね、おめでとうございます。

日本のモノづくりの強みは、小さくするとか薄くする。要するに実装技術を、デザインがどう提案し、技術がどう応えるかということですね。その中でもとりわけ制約の多い軽自動車という領域で、コペンは、そうした技術をデザインとしてものの見事に凝縮させながら、同時に自動車そのものからある種のダイナミズムが発せられている。そしていわゆる「軽自動車」というジャンルを「コンパクトカー」に変革するというきっかけを創られた。そのダイナミズムの源は、遡ればデザイナーがいきいきと仕事をしていることにあるのではないか。さらにダイハツさんのデザインマネジメントにあるのではないかと僕は考えていますので、今日はこのあたりのお話もおうかがいできればと思います。

まずは、グッドデザイン賞の金賞の受賞をどのように受け止められているのか、その感想からお聞かせください。
   
石崎: 金賞受賞というのは想像だにしなかった、というのが正直なところです。よそのメーカーさんも素晴らしい軽自動車をたくさん出しておられる中で、逆にいままでなぜ軽自動車で金賞がなかったのかということは、不思議な感じはします。われわれもエッという感じでした。

ただ、意義という面では、軽自動車にも一つの場を与えていただいた。高級ブランドばかりに金賞が与えられるものではないという意味でも、手前味噌ではありますが、その一般的な価値が出てきたのかなと思います。軽自動車は日本にしかないジャンルですし、日本特有の文化と言えるほどまでに熟成されています。今回のコペンは、そういう意味では正に日本的かもしれません。制約というのは確かにネガティブファクターではあるのですが、制約の中でこそ生まれてくる技術があったり、制約があるからこそ生まれてくるデザインもある。これがあるレギュレーションがなく自由につくっていたら、コペンのような凝縮感は出てこないのではないかという気もします。ただ、今回のコペンの場合、制約という前提条件から始まったものではなく、ドライビングプレジャーを目一杯込めこもう、というところからスタートしているという点が特筆できる部分だと思います。一般的に軽自動車の存在意義は、合理的で、便利でという、実利的な道具の図式の中にしかなかった。そこに、走る喜びみたいなものがこの世界にもできるぞということを見せてやるという強い意気込みがあったというのが、特徴だと思います。

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