| 矢倉: |
一方で、関係者から期待されたのが「ファストプール」というコンセプトです。競泳では早く泳げ記録のでるプール、シンクロでは競技者を美しく輝かせるプールでもあるということです。良い記録が出せるプールというものは実際のところ科学的には解明されていません。ですので、多くのメダリストにヒアリングして得られた「波の影響が少ない」、「気持ちのいい水だった」、「短く感じた」、「気分が前を向いた」、「全体の雰囲気が気持ちよかった」といったさまざまな意見を元に、やるべきことは無条件で採用していくということの繰り返しでした。波の影響については、ある程度研究も進んでいますので、コースロープのデザインや水深の適切化、プールの周囲40cm幅のところの形状で押さえるような工夫を施していけば良いのではないかという手応えはありました。しかし、問題は「感じた」とか「気持ちが良い」という部分で、スペックで表すことができない要素がからみあった皮膚感覚をどういうデザインで乗り越えていくのか、定量化できない要素にどう取り組んでいくかという部分です。ここでの取り組みは多岐にわたります。距離を短く見せるようなラインを考えてみたり、スポンサーのサインデザインと調和しながら、スタートの際に選手がコンセントレーションを高められるようなプールデッキの色を探ってみたり、シンクロ選手が美しく見えるような色をつくってみて、実際に3mの水深を通して検証してみたり、水中で音をクリアに伝えるために検討を重ねてみたり、果ては、プールサイドに近接した観客席からの大声援が、選手たちの最大の能力を引き出すのではないかと考えてみたり、やるべきだと思われたことは全て取り入れています。概略は、そういう話になります。
FRP製のプールそのものについての基本的な形はエルムデザインさんという外部の事務所がデザインをしています。20年前のデザインがそのまま活かされています。それぐらいよくできたデザインなんです。一般の方にはわかりにくいんですが、たとえばプールは滅菌をするために塩素を投入します。そうすると塩素ガスが発生して、それが刺激臭になります。このガスは比重が少し重いものですから、オーバーフローしたところの溝から下に出してやろうという工夫が20年前にすでになされているんです。また、プールは一般にコンクリート製で角張ったイメージですが、FRP製として50Rとか小さな曲率のラインを多用することで、非常にソフトなイメージを作り上げています。この50Rを100Rにしたら、見た目に何かだらしなくなりますし、50Rを30Rにすると加工が非常に難しくなるという制約があります。もう変える必要のない非常に優れたデザインです。 |
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| 川崎: |
一般の人から見ると、デザインとは色や形をカッコよくすることだと誤解されますが、ある言い方をすると、デザインというのは無理難題を形態で解決する、あるいはシステムで解決するものです。今回の水夢21の場合も、国際公認プールとしての非常に厳しい条件で、つまり条件イコール課題であり、問題であったわけですね。なおかつ、ある期間の中でやり終えるという時間の制約、もう一つは生産コストという問題もあります。それらを形とシステムで解決されたわけですね、このことこそがデザインだと言っていいでしょう。無理難題の解決の手法が特化した部分で出ていたところが評価が一番集まった理由なのだろうと思います。 |
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| 矢倉: |
25年前の優れたデザイン、国際公認プールの要求、そしてファストプールの条件、非常にかっちりした規格と、非常にわかりにくいファジーの部分をどう融合させていくかということに非常に苦労しました。ここに最後の1年を費やしています。そのために、やるべきことは無条件で全部入れていくということの繰り返しでしたので、わからないところはわからないという割り切りも早かった。しかし、わからないままにはしておけないから、この問題はあとに取っておいて、それはそれでもう一回チャレンジしてみようということにする。今回もファストプールという条件は最後まで頭を悩まして、実は最後までわからなかったんです。わからないなということは、すでに1年前にわかっていたんですが、何がわからない元かというと、泳いでいる人の速さというのが全然わからない。50mの両端にはタッチ板があって、その間のスピードと距離はわかります。ところがその50m間のプロセスは全然わからないんです。
日本水泳連盟の中に医・科学委員会がありまして、そこは10年間、膨大なデータを取っているんです。それは画像処理ですが、ブラウン管の上に画像を流して、単位距離あたりの平均ストロークでタイムを出そうというものです。それを目で見て、カウンターで測っているわけです。しかし、それでは5mとか10mという間の平均ストローク数、平均ストローク長、スピードしかわからない。私どもが欲しいのはワンストロークではどうなのかで、これがないと速く泳ぐということはどういうことなのかが分析できないわけです。プールや水が泳ぎにどういう影響があるのか、あるいはメンタルな部分にどういう影響があるのかということを導き出せない。そこに挑戦しようということで、オートバイのエンジンが動く状態をハイスピードカメラで撮影して、リアルタイムにフィードバックする装置を社内で借りてきてやりましたが、残念ながら、それは3分ぐらいしか撮れないんです。手がどう動いたら、人間はどう進むかということがわかるんですが、いかんせん3分では話にならない。そこで社内的にはどうしようもないので、最後に浜松ホトニクスさんに行って、これは仮称ですが、スイムストロークウォッチャーといって、5台のビデオカメラで撮影した映像を、それをそのまま画像分析するというシステムを開発しました。そうすると、ワンストロークずつのスピードも距離も、全部わかってしまうんです。実はこれが直前にできましたので、これが正しいかどうか、残念ながら検証できてはいない。そこで水泳連盟の医・科学委員会が10年やってきた手法がありますので、彼らはその方法で得た同じデータを使ってやりました。そのデータと比較することで精度が出る。結論的には非常によくできていましたが、これも1年半ぐらいかけてやりました。このシステムを利用して福岡水泳に出場した競泳選手を分析してみたんですが、たとえばフォーフェンバンドとイアン・ソープの相対距離の変化を見てみると、最後の50mで大きな距離の差が出ます。データを見てみると、この間にソープはあまりストロークを増やしていない。つまりフォーフェンバンドが相対的に失速していっている。これは見た目からは判断できません。
こんなことを通してファストプールの条件が、いままでわからなかったところまでわかってきたんです。ここで得られたノウハウやシステムが商品に反映できるかどうかはわかりません。むしろ選手を育てるトレーニングのための補助材料になってしまうのではないかというお話をしています。だから、これは全く無駄ですね。(笑)ただ、そういう執念というか、わからないことはわからないけど、何とかしようよという空気がうちにありますね。 |
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| 川崎: |
ヤマハ発動機さんにはプールをつくる技術、それは伝統になっていますね。以前、ローテクではあるけれど、しかし日本でなければできないとおっしゃっていたことが、すごく印象に残っているんです。そのノウハウのすべてをオープンにして、使っていいですよと言っても海外には絶対に真似できませんよとおっしゃいましたね。一方で、エコロジーのほうもきちんと考えられていて、最後はポルトランドセメントになるということをうかがって、非常に感動したんです。ローテクなものの伝統を企業がきちんと継続して持っていたこと、それが最先端のエンターテイメントを演出するある種の道具、設備に応用されていること。なおかつ、今の地球環境に対しての配慮という、非常にうまい循環性が取れている。このような総合力の高さによって、金賞、かつグランプリにあと一歩というところまでいかれたのだろうなという気がします。
こうしたモノを生み出す、デザインオリエンテッドなヤマハ発動機さんのデザインマネージメントの特色を聞かせていただくと、非常に良いひとつの事例になるのではないかと思います。それはある言い方をすると、21世紀のデザインを拓いていくブランドとデザインの問題にもかかわってきます。こうしたことに対してデザインがどうやって切り込んでいくのかというのは、非常に興味があるところです。 |
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| 清水: |
ヤマハ発動機という企業とデザインの関係を簡単にご説明しますと、GKダイナミクスをはじめとするGKグループとエルムデザインの2社、外部に完全に委託しています。おおまかに言えば、普通のモータサイクルをGKダイナミクスさんが、スクーターなどをエルムデザインさんが担当しています。ですので、社内にはデザイン部門を持っていないんです。歴史的にはいろいろなトライをしていますが、原則として社内にデザイン部門を持ったことはありません。ここはよく誤解されるところですが、重要視されていないから外に出すのではなく、重要視しているからこそ外に出すという概念が出てくるんです。
ヤマハ発動機の商品自体が、プールをはじめ、基本的に遊びという概念がどうしても入ってきます。オートバイや船は、車と同じ移動の道具ととらえられる方が多いと思いますが、ヤマハ発動機の中では、むしろ遊びの道具ととらえています。遊びという行為自体はライフスタイル、自己表現に使われていくということもあります。同時に、いろいろな法規制でがんじがらめです。プールもそうですが、安全のところで非常に厳しい基準があるものですから、そこでどうしても諸要素を融合していくデザインが常に議論されているところがあります。そういう面で、非常に重要視されるのだろうなと思います。
デザイン部門を外部に持つことの最大の目的は、健全な対立構造をつくろうということです。インダストリアルデザインの世界は必ずそうで、量産という概念が入ってくるがゆえに、お客さんが考えるものと企業がつくれるものの間には必ずどこかでギャップが生まれてきます。そのギャップを誰が埋めていくのかという話しになると、実はデザイナーというのは市場の発想に近い、お客様の発想に一番近い人たちであるというのがヤマハ発動機のとらえ方なのです。デザイナーを市場の代表者ととらえるものですから、中に取り込んでしまったら、早い妥協になってしまって、健全な対立が生まれない。ひいては良いモノが生まれないということに繋がっていく。
デザインが外にあれば、会社は別ですから、上司はどこまでいっても一致しない。ところが、社内にデザインがあると、デザイナーはこうしたい、つくるほうはこうしたい、コストはこうであるといった調整の中で、あるボスまでいったときに、これは設計の言うとおりだ、あるいはデザインの言うとおりだという裁定がなされて、早い妥協になってしまう。量産ですから、どこかで妥協せざるをえないところがありますが、それをできる限りメーカー側から遠ざけようというのが基本的な考えです。工場はプロジェクトチームの外に置いて、一番距離があります。それで設計の人とデザイナーの人が喧嘩に近いような議論をする。これが不健全な対立になると具合が悪いので、われわれは健全な対立といいますが、安易な妥協をしない。
また設計もデザイナーに対する尊敬意識は必ず持っています。これも外に置いている一つの理由です。実際にいいデザインの商品が売れていくというのを目の当たりにして、設計のほうも非常に強い意識を持っています。設計としても、デザイナーが言うことをどうやってつくり込めるかが自分たちの使命だと思っている人たちが多い。そこで一つの対立構造を意識しています。
これはプロジェクトチーム内での対立ですが、実はもう一つ、対立構造をつくっています。それはプロジェクトチームとデザイン評価・決定チームとの対立です。では、デザインの評価・決定権が誰にあるのかというと、たとえばヨーロッパの例でいいますと、ヤマハ発動機とは別会社の海外の販売会社があります。販売会社ですから全体が営業ですが、その中の企画部門の少数の人たち、誰それと固有名詞が出るぐらいの少人数のチームに選ばせています。大変な権限を与えるのですが、そういう商品なんでしょうね。うちの例で言いますと、逆に大人数の合議制で決めた商品はあまりよくない。役員を含めた合議制で決めている例は多いでしょうが、うちでは役員に拒否権はあっても、選択権はないんです。もちろんどういう過程を経て決まってきたという報告の中で、複数のスケッチを見せることはありますが、選んでくださいというかたちはありえない。こういうプロセスで決まっていますが、これでよろしいでしょうかという見せ方をしています。 |
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| 川崎: |
いまのお話をうかがっていて、非常にいい具体例を聞いた気がします。というのは、非常に明快だなと思ったのは、英語のプロブレムは、ラテン語ではプログレマといいます。プログレマがプロブレムに翻訳変容されていくときの歴史的な経験が問題というのは何かという本質を明らかにしているという言い方があります。それはプロジェクション、投射することと、プロテクトするという二つの意味が含まれていると解釈されているんです。つまり、社外と社内が健全な対立構造という場で、お互いに持っている力をデザインやものづくりに投射し合って、戦うわけです。そうすると、時には守るということも必要になる。守るときの方法には、隠して守るか、さらけ出して守るかの二つしかない。ヤマハ発動機さんのお話を聞いていると、さらけ出して守るという感じがするんです。いま停滞している企業、隠して守ってしまうところは、トップがこっちにしろと意志決定したもので、デザイナーはそれで安全圏に入ってしまう。そういう商品は全然成功しないんですよね。 |
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| 清水: |
それは市場とのギャップを単純に企業の中に持ってきただけの話ですから、市場とのギャップは大きいままですよね。お客さんとのギャップが小さければ小さいほど、お客さんにとっては受け入れられる商品になるわけです。そこのところで社内の理屈や権力が介入していったら、どんどんおかしくなってしまいます。それはわれわれの中では悪だと言っています。もちろんやむをえない場面は出てきますが、妥協点をひっくるめて、お客様のほうに持ってこようという姿勢は大事にしています。 |
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| 川崎: |
大企業では、よく技術の方がうちのデザイン部はだめなんですよみたいなことを言われる。それなら社外のデザイナーに依頼すればという話もあるんだけど、そういう社内での対立がある。ヤマハ発動機さんがおっしゃっている健全な対立構造、技術とデザインの対立というのは、そういうものではない。いまデザイン部門が子会社になるというか、カンパニー制で独立採算制を強いられて、非常に苦しんでおられる企業がいっぱいあるということも含め、外部デザイン会社とヤマハ発動機さんとの関係は非常にうまくいっているようですね。 |
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| 矢倉: |
そうですね。デザイナーからは非常に良い刺激をもらってます。エルムデザインさんはずいぶん熱心なんです。私ども営業の悪い癖で、だんだん売るものがなくなってくると、新しいものが欲しいなというのがあります。そうするとエルムデザインさんに、「何か新しいモノを考えろよ」と無茶なことを言うんです。そういうことに的確に応えてくる。3年ぐらい前から、いまだに議論の最中ですが、プールというのは競技や遊びだけじゃなくて、健康増進施設の中でどんどん使われていると彼らが言い始めました。たとえば老人ホームの中で、お風呂がこういうふうに変わってきているとか、あちこちで調べてきて、そのデータをどんどん出してくるわけです。当然、普段の私ども営業のフィールドにはそんな認識はないわけで、「おいおい、こんなものがあるぞ」というような市場を彼らが発見してくる。
たとえば、プールも船も同じですが、デザインプレゼという会議があります。ここにはそれでレビューされたものについて、デザイナーに対して営業がぼろくそに言います。だから戦いです。その中で、営業はデザインができませんから、とりあえずこれは気に入らない、こんなものを出しても、客は見ないよとけなす一方です。では、どうすればいいんだというと、それはあんたらが考えることじゃないかという会です。デザイナーは非常に困ると思うんです。そうしたやりとりが、ものによっては1年ぐらいかかります。いいものができると、すっと3カ月ぐらいでいきます。営業から見ると、デザイナーとやりあうデザインプレゼが一番おもしろいですね。 |
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| 清水: |
これも一つの特色かもしれませんが、先行デザインを含めて、極端なことをいうとデザインが関われる全部を委託してしまっているんです。デザインポリシーから、デザイン戦略の立案まで、すべてを外部に委託していて、社内にデザイン戦略を立案するチームはない。完全に委託しているから、逆にいうと、そこでそういう仕事をしない限りは、契約の中でお金を取れない。それはエルムデザインであっても一緒でしょうから、そこでの緊張感はありますね。一方で、健全な対立という対立構造が基本ですが、これがちょっと行き過ぎると不健全になってくるようなところはあります。そのへんの調整作業、仕分けみたいなところはやはり出てきます。実際には、外部2社のコンペというのは、そんなにたくさんはないんです。どうしても効率という面が出ますので棲み分けみたいなものはあります。それでもボーダーラインはどうしても出てきて、それは外部に持つことによるデメリットかなと思います。 |
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| 川崎: |
いまGマークを付けたところで売れないよとか、ある言い方をするとGマーク否定というのが非常に大きいんですよ。もちろん取っていただいたところは、それなりにアピールしていただけるんですが、これは制度ですから、制度自体が崩れていくことが新しい制度をつくっていくことになる。制度という中では、これは褒賞制度で、絶対にコンペティションではないと言っていますが、いまだにコンペティションという考え方を持たれる方がいっぱいいらっしゃる。今回も50数パーセントがGマークで、事務局自身からも権威性がなくなるから、Gマーク認定を審査委員に対してちょっと抑えてほしいという話も、実はありました。
ただ、応募されてくる商品にしても質が非常に上がってきているので、50%以上合格してしまったというか、日本のデザインはそういう水準にあるんです。そうすると、今後グッドデザインの制度としてどう持っていったらいいのか。僕の役割としては50周年にきちんと持っていって、これが日本のいいデザインなんですよと海外に発信する。国内ではまだまだデザインの重要性やデザイナーの職能位置を振興して高めていかなければいけない。審査委員は決して色や形だけで選んでいるのではなく、企業の理念やそこにかかわった人たちの苦労が最終的に形に表れたというところで評価させていただいています。審査委員長としてはそんなことを考えてきたのですが、応募いただく側として、グッドデザイン賞そのものに関してはどのようにご覧になっていましたか。 |
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| 矢倉: |
私どもは営業で、デザイナーではありませんから、グッドデザイン賞というとデザインを評価するところだと思っていました。水夢21がグランプリ候補になって、プレゼンをやることになって慌てて、今回の受賞リストを見たときに、デザインとは何なのかがわからなくなりました。テレビの番組がなぜグッドデザイン賞なのか。インタラクションデザイン賞にしても、たとえば聴覚障害の方のコンサートというものが入っていて、あれはデザインなのかということです。また建築はデザインとは別分野だと思っていたら、それも入ってきているということで、わからなくなったと同時に非常におもしろいなと思いました。具体的な形にする前のコンセプトも審査の場では対象にしている。つまり何が出てきてもいいんだなということで、私は見方が新たになったというか、新鮮な気持ちで見たんです。卑近なところで言えば、われわれプールをつくっている者から見れば、こんな機会はまずない。27年やってきて、1回の機会ですくわれているというところで、非常にいいなと報われた感じがしました。 |
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| 清水: |
企業サイドから見ると、実際の商売の面では、先ほどのGマークが付いたところで売れないという意見に賛同できるぐらいの見方をしていたんですが、Gマークの価値観自体が大きく変わってきているのは、いい方向だと思います。お客さん自体が、IDとか、建築とか、イベントとか、あるいはシステムみたいなものと区別してないで、どんどん一緒くたにとらえるようになっている。そうした要素が総合されていないと、商品としては売れないという時代になっています。Gマークはそれに先行して、総合としてどうなんだというところ、場をつくるとか、シーンをつくる、その価値はどうかという方向へもっと動いていくようですので、良い方向かなと思うんです。
一方では、Gマークはお客様の声の一つの代表、それが具現化されたものかなというとらえ方をしています。お客様の見方が、昔のデザインの造形と機能との融合みたいなところから、質の部分とか、演出みたいなもの、あるいはソフト的な価値のところへと移ってきている。それに伴ってGマークの審査基準も、昔と比べるとずいぶん変わってきている。われわれにとってみると、お客様の声自身がちょっと変わってきています。われわれはいままで大手を振って、自信を持って出していたところがありますが、今は本当にそれに合っているのかなという、ちょっと迷いが出ているようなところもあります。 |
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| 川崎: |
いま時代的には非常に厳しい時代です。一説では人類は60年か70年しかもたないだろうというようなレポートも出ている。こうした中で、デザインがどこまで力を持って理想主義を貫くかというと、デザインという考え方、きちんと問題解決して形にしてあげるというところに力点を置いていくべきだと思うんです。色がどうとか、このカーブが美しいねみたいなことだけではなく、考え方はどうなんだ、社会に対する影響はどうなんだ、という問題解決の美しさを問うところへ、まだ去年初めて委員長をやったばかりで経験不足もあるんですが、もう一歩先へ行きたいんです。
実は今回、最終的なグランプリ候補6点を問題解決という次元から見ていくと、個人的に正直なところは「水夢21」だったわけです。惜しくもグランプリは逃しましたが、グランプリを象徴として、その周りの金賞を、ここに入っているものを21世紀の最初のデザインとして総体的に見てほしい。願わくばGマークの舞台で、われわれの考え方はこうなんだ、われわれの企業はこんな考え方を持っているんだということをアピールされるのが一番いいと思っています。そういう意味では、これからもぜひご協力をお願いしたいと思います。
(2002年1月9日 東京都・中央区の大丸デパート11Fルビーホールにて収録) |
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●矢倉 裕
ヤマハ発動機株式会社 プール事業部 営業部長
●清水 健一
ヤマハ発動機株式会社 研究開発センター 企画室
●川崎和男
名古屋市立大学 教授
2001年度グッドデザイン賞審査委員長 |
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2001年度グッドデザイン金賞紹介のページ:
http://www.g-mark.org/library/2001/gold/public.html |
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水夢21のページ:
http://www.yamaha-motor.co.jp/pool/swim21/index.html |
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ヤマハ発動機株式会社のHP:
http://www.yamaha-motor.co.jp/ |
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名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科 川崎和男研究室のHP:
http://www.kz-design.net/ |
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