川崎和男 対談バックナンバー

KAZUO'S VOICE
 


今回は、「空想生活」を主宰されている西山浩平氏をお招きし、空想生活が提唱する新しいデザイン手法やデザイナーのプロフェッションについて対談いただきました。

(編集部)

西山 浩平 川崎 和男
西山 浩平
エレファントデザイン株式会社 代表取締役
川崎 和男
名古屋市立大学 教授
2001年度グッドデザイン賞審査委員長

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●デザイナーにとって空想生活が意味すること
川崎: 西山さんが主宰されている「空想生活」は新しいビジネスモデルということで、2000年度の新領域デザイン部門でグッドデザイン賞を受賞されました。いまデザイナーは、企業の中で思いどおりのものづくりということがやれない環境にあると思います。一般の人も、こういうものが欲しいと切実に願っている。これは僕も非常に強く感じていることです。実を言えば、一応「空想生活」のメンバーなんです。リードオンリーなのですがときどき拝見しています。僕は、ある雑誌で「CIGARRO」に対して批評、それは先輩デザイナーとして苦言を呈したりはしていますが、ユーザーが抱えている問題を解決していこうとする空想生活のビジネスモデルは、今世紀をとらえたやり方としては非常に優れたシステムであるとみています。

まずは、このようなビジネスモデルをつくられた西山さん自身が、デザインあるいはデザイナー、またはグッドデザイン賞という制度をどのように捉えているのか。このあたりからお話をうかがいたいと思います。

   
西山: 「ユーザーがほしいと思うものを手にはいるようにした。」これが、私たちの「空想生活」が新領域デザイン部門でグッドデザイン賞をいただけた理由だと思っています。 これは「デザイナーがニーズの発生している現場に、アクセスできるようになった」ことであるとも言えます。欲しいものが手に入らず困っているユーザーが、ニーズの「現場」だとすれば、これまでは営業やクレーム処理班が「現場」対応をおこない、デザイナーが「現場」に立ち会うことはありませんでした。
私たちが「空想生活」で実現したかったのは、デザイナーが現場に足を運ぶことにより、ユーザーが喜ぶデザインをできるような環境を作ることでした。もっと現場主義のデザインができるようになれば、ユーザーが求めているデザインが提供されないなんてことはなくなるはずだと考えました。 身の回りを見渡してみますと、ユーザーは欲しいものが手に入らないと嘆いている。他方で、デザイナーは社内の意志決定者にユーザーのニーズを反映したデザインを提案してもリスクが読めないため、認めてもらえない。その結果、売れる商品がつくれないと経営者が怒る。この現状は、なにかがおかしいと思います。何でユーザーの問題を解決する役割のデザイナーがその役割を果たせないのか? その答えの一つが「空想生活」が提唱するデザイナーの新しいデザインの手法なのではないかと思っています。
   
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