内覧会についても、やっと一般の人たちを視野に入れた情報公開を始めていますが、僕は非常に不満を持っています。今後、内覧会は単に審査会場をそのままオープンにするのではなく、各企業にブースを持っていただいて、「わが社は今年これだけGマークを取りました。その背景にある考え方はこうです」ということを語り直してもらう。そして、その賞を見なかったら時代遅れだという時代を、21世紀の初めにぜひともつくりたい。
そのグッドデザインの内覧会に代わるもの、いまはグッドデザインプレゼンテーションと呼んでいますが、それがモーターショーほどの人を集める。たとえば新婚さんはそのショーを見て、そこでブライダル商品を決める。そういうことになったら、日本人の生活レベルはぐんと上がるだろう。それがグッドデザインの今後の大きな目標ではないか。やがて50周年が来るので、その前座として是非とも始めたい。特に地場産業で苦しんでいるところは、そのフェアを通して審査委員の人たちをコンサルタントにするとか、審査委員の人たちに相談したら、その人たちがそこの産地に適したデザイナーを紹介するというようなかたちにしていく。僕がデザイナーだからかもしれませんが、本当の豊かさはグッドデザインから始まると信じています。
いま各地の地場産業は非常に苦しんでいて、マーケティングが見えていないとか、何をつくっていいか迷っている。自分たちの培ってきた技術すら、それに投資もできないぐらい苦しんでいると思うんです。それを支えてあげられるのはデザインです。デザインで精神力を強めて、応援してあげることが必要です。そのためにはまずGマークをねらってもらう。それが地場産業にとっては非常にいい方法です。先ほどの話でいうアフターフォローの問題が一つあります。落ちてもそれが納得できるようなアフターフォローづくりは審査委員長としてきちんと取り組んでいきたい。
デザイン振興という点に触れると、世間一般でブランドイメージの良い会社「A」の製品はすべからく良い製品であると認識されがちですが、専門家の目からひとつひとつの製品を詳細に観察してみると、ブランドイメージがさほど良くない会社「B」の製品の方がはるかに良いデザインである場合があります。ところが、一般大衆はA社のブランドイメージが非常に高いから、B社の製品よりもA社の製品のデザインが優れているように見えてしまっている。客観的に見ると、日本人は流行に揺れ動かされる部分を強く持っているんです。そういう意味でいくと、日本のデザイン振興で足りないのはこういう部分にもあるかもしれないですね。
ユーザー、ユーザビリティという言葉が最近出てきて、これからデザインの場にはユーザビリティが強く求められるようになるでしょう。これはISO13407などが上陸してきていますから、そういうグローバルスタンダードの中で日本は対抗していかなければいけない。そういう中で、ユーザー、あるいはデザインがわかる生活者というと、これはまだまだ少ないと思います。どうしても量販店で、価格がなんぼということが常に問われるし、バーゲンセールということになります。