GOOD DESIGN AWARD

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2021

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

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受賞対象名
店舗兼住宅 [houseS / shopB]
事業主体名
清野 龍、清野 郁美
分類
戸建て住宅
受賞企業
木村松本建築設計事務所 (京都府)
受賞番号
21G111067
受賞概要
2021年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

古書と雑貨の販売、立ち飲み屋も営む店舗併用住宅。敷地は広い間口(約18m)と浅い奥行き(約2.2〜3.7m)を持つ。面前の並木や電柱に匹敵するスケールの構造体とそれらから成る構えを持つ建物が敷地の「浅さ」を歩道も含めた道路幅全体の「深さ」へと変換し、歩道と敷地が浸食し混ざりあった「近さ」の状態が現れることを期待した。

デザインのポイント
1.幅450の柱とロフト階トラスからなるラーメン構造によって、前面道路や街ゆく人々に大きく開かれている。
2.外から本のタイトルが読めるほどの奥行きの店舗の床を600mm下げ、店舗と通りの視線をずらしている。
3.不整形で狭小な敷地に対し二つの庭と軒下をつくり、住みながら使い方を考える余地として機能させている。
デザイナー

木村松本建築設計事務所 木村吉成、松本尚子、芦田晴香

詳細情報

http://www.kmrmtmt.com/s_b.html

利用開始
2019年3月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

京都府京都市左京区

受賞対象の詳細

背景

世界のどの地域でもはたらく人が見える街は魅力的だ。アジアの街路・広場にひしめく屋台、都市計画的につくられた街であっても道に向かって(あるときは道そのものに)立ち働く人の姿からは動的で活気が感じられる。そこには時間と智慧の堆積した街並と手に取れる環境を使って生きる人間の根源的なすごみがある。 敷地にかつて建っていた小さな魚屋も、面する歩道上部を庇テントで覆って商う近隣のアーケード付き商店街の一角がスプリットしたような店構えであり、横断歩道のそばに大きな影をつくるテントの下は公と私が流動する活発な領域であった。それは公の「誤った」使い方であるが、近隣の街並と接続し道に私的領域を拡張する風景からは、生活する人の環境の読み取りと多様な工夫があり、学びがある。そして大きな道に面する小さな魚屋の庇テントがとても大きかったように、人々の実践の中からは都市の構造性を見出すことができる。

経緯とその成果

敷地は立派な並木を備えた道路に面する、隣接する大学施設の樹木と相まって開放的な環境である。間口の広さと奥行きの浅さが特徴だった。 ここに、整形かつ最大のフットプリントを幅14,080ミリ、奥行き2,000ミリと設定し、道路沿いという敷地の固有性を顕在化するよう、柱脚にのみラーメン金物を採用した幅450ミリの木造ラーメン柱を長辺方向に配置、間口に対し歩道側に大きく開いた(柱上端のロフト層を合板で固め擬似ラーメンフレームを形成)。 奥行き方向は筋交いで固める計画とし、身体との関係においては敷地の南北高低差に対応した床高変化(筋交いの下に潜る)と什器・家具の配置(筋交いから離れる)によって空間に溶け合うものとした。 近隣の人々がふと立ち止まることで生まれる、歩道の一部が建築になったようなこの建物は、店を営みながらその上で住まうオーナーの日常とコミュニティが重なり合う小さくて大きな場所となった。

仕様

階数:地上2階 /敷地面積:52.60m2 /建築面積:29.00m2 /延床面積:53.64m2 /主体構造・構法:木造軸組+一部木造ラーメン工法/ 基礎:べた基礎

どこで購入できるか、
どこで見られるか

ba hütte.

審査委員の評価

京都に出現した新時代の町家建築。通常、町家は間口が狭く奥行きが深い「ウナギの寝床」の敷地であるが、このプロジェクトでは、間口が広く奥行が浅い。町に対して接する表面積が大変大きい。その表面積を活かし、大開口のサッシを用いて、住宅と店舗(古本屋)のハイブリッド感が大胆に表現されている。引いてみてみれば、引き延ばされた家型であり、実にシンプルなデザインで、働くことと暮らすことが混ざり合った都市住宅の新しい在り方を示すことに成功している。街の本屋がどんどんと閉店していく中で、古本屋の生き残り方が、こうやって暮らしと溶け合うことであるというのは、大変に現代的な現象であるとも言える。本を基点とした街のコミューンを生み出していくだろうことが想像できる。時代の流れを生む重要なデザインである。

担当審査委員| 藤原 徹平   網野 禎昭   千葉 学   手塚 由比  

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