GOOD DESIGN AWARD

キーワード
受賞年度
年度(から 年度まで)
特別賞
企業情報
CC

2018

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

このページの画像、テキストの無断転載を禁じます。 (C)JDP All rights reserverd.

受賞対象名
小学校、中学校、児童館 [釜石市立唐丹小学校・釜石市立唐丹中学校・釜石市唐丹児童館]
事業主体名
釜石市
分類
公共の建築・空間・サインシステム
受賞企業
乾久美子建築設計事務所 (東京都)
釜石市 (岩手県)
東北大学大学院工学研究科小野田泰明研究室 (宮城県)
東京建設コンサルタント (東京都)
受賞番号
18G121045
受賞概要
2018年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

本計画のある釜石市唐丹町は、唐丹湾の美しさと生業と生活が一体となった集落の落ち着きが共存する漁業集落です。本計画は、津波被害を免れた旧中学校の敷地内に被災した小学校、中学校、児童館を集約するというもので、それぞれが連携しやすい教育環境を整備し、また防災拠点としての強化を図ることで、学校を主軸とした地域再生のシンボルとすることが望まれました。仮設校舎による学校運営が続けられる中で残る裏山をできる限りなだらかに造成し、一般的にはスケールの異なる土木設計と建築設計を繊細にコーディネイトすることで、急斜面であることを生かしながら、新しい学校の魅力を紡ぎだすことを意図しました。

プロデューサー

(施主)釜石市

ディレクター

(コーディネート)東北大学大学院 工学研究科 小野田泰明研究室

デザイナー

(設計・監理)乾久美子建築設計事務所・東京建設コンサルタント 釜石市唐丹地区学校等建設工事設計業務特定設計共同体

竣工
2018年2月
販売地域

日本国内向け

設置場所

岩手県釜石市唐丹町

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

土木と建築の制度的ギャップを乗り越え、海岸沿いの小さな集落にふさわしい、やさしい学びの場を生み出す

背景

被災した学校を集落のなかで再建したいという地域の思いから決定された旧中学校の敷地にはプロポーザル時点で既に仮設校舎が建っており、主な建設可能エリアはその背後に残された裏山でした。敷地は高低差最大34mの急斜面地であり、かつ狭小であったことから、通常では分離して計画・発注される造成計画と建築計画を一体的に行い、大幅な地形変更であるにもかかわらず、あたかも以前からそうであったかのような自然な環境づくりを目指しました。 また、被災地におけるコンクリートや鉄骨などの資材が高騰したことから、建設単価と供給の安定していた木材を主体構造とした計画とし、部分的に木造耐火構造を採用しました。さらに、地盤にあわせた植栽配置を行い在来種を主とすることで、被災地において懸念されている植生の混乱を避け、地域植生の復元にも配慮しました。なお、敷地内には集落のための避難路ともなる外部動線を設けています。

デザイナーの想い

行政によるプロポーザルの実施、その後の計画に対する柔軟な対応を始め、釜石市全体の復興プロジェクトのコーディネートを手がけられた東北大学小野田研究室による助言、ECI方式の採用による施工者側の早期協力など、「この集落のなかで再び学校を」という地域住民と行政の強い思いをさまざまな主体が受け止めお互いに協力しあいながら、プロジェクトを進行させました。 設計においては造成計画と建築計画の調整に関する検討作業に多くの時間を割き、工事は狭小斜面地での難易度の高いものとなりましたが、 施主・施工者・設計者・その他多くの関係者が一丸となり、現代の建設的な制約や社会制度の限界の中でも、ひとつひとつの問題を丁寧に解決することで、子どもたちが山を使いこなしながら学ぶというような、環境とともに生きるこの地域にふさわしい学校の骨格をつくり上げることができたと思います。

仕様

規模/ 敷地面積 20,309.92m2 建築面積 4,362.30m2 延床面積 6,180.00m2 建蔽率 21.48% 容積率 30.43% 棟1:地上2階、木造+RC造 棟2:地下1階 地上2階、木造+RC造 棟3・4:地上2階、木造 棟5:地上2階、木造+RC造 体育館棟:地下1階 地上1階、鉄骨造+RC造、一部木造 プール棟:地上1階、RC造

審査委員の評価

被災にあった釜石の小学校と中学校の高台移転計画。通常では近いようで遠い土木と建築の設計を一緒に行うことで、斜面の造成工事を最小限にして工事費と敷地への負担を圧縮。造成の高さと建物の階高を4mに揃え、建物内部で1階から2階に移動すれば、隣の建物の1階にそのまま繋がるので、体験としては単純かつ複雑になる。4mという階高は土木としては小さいが木造建築としては高い。そのスケールの違いを空間の質に転化。単純な形態が並んでいるだけだが、配列と組み合わせで豊かな内外の空間を生み出している。とにかくここでは「ある大きさもった立体をある特徴をもった場所に配置する」という建築計画の基本が極めて高い精度で行われている。形態としては地味だが、まさにデザイン=設計として素晴らしい。

担当審査委員| 山梨 知彦   浅子 佳英   石川 初   色部 義昭   永山 祐子   Gary Chang  

ページトップへ