GOOD DESIGN AWARD

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2018

GOOD DESIGN|グッドフォーカス賞 [復興デザイン]

受賞対象名
共同住宅 (災害公営住宅) [釜石市の復興公営住宅(大町復興住宅1号、天神復興住宅)]
事業主体名
釜石市
分類
中〜大規模集合住宅
受賞企業
株式会社千葉学建築計画事務所 (東京都)
大和ハウス工業株式会社 岩手支店 (岩手県)
釜石市 (岩手県)
東北大学大学院工学研究科小野田泰明研究室 (宮城県)
受賞番号
18G110946
受賞概要
2018年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

津波により甚大な被害を受けた釜石市における復興公営住宅。建設価格の高騰など、復興過程における困難な状況を乗り越えるために、官民が連携する「建物提案型復興公営住宅買取事業」に踏み切った最初の事業。構造形式や外壁の素材などに選択肢のない厳しい制約の条件の中で、建物相互の関係性だけをデザインすることで、被災地における多様で複雑なコミュニティに応えた建物。一人の時間や空間を大切にしつつも近隣と繋がり、その風景が街に溢れるよう、住棟と縁側状の廊下の関係性を土地ごとに独自に展開している。また、市の花である「はまゆり」の色から外壁のカラーチャートを作成し、未来の街に復興の記憶を風景として刻む試みもしている。

プロデューサー

釜石市

ディレクター

東北大学大学院 工学研究科 小野田泰明研究室

デザイナー

千葉学建築計画事務所+大和ハウス工業岩手支店

利用開始
2016年5月

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

居室や住棟相互の関係性のデザインによって、地域にふさわしいコミュニティの様相に応えた復興公営住宅。

背景

東日本大震災以降、建設資材の高騰、職人不足などから従来型の設計施工分離の発注形態では、価格や工程の管理がうまくいかず、仕切り直しになる計画が相次いだ。そのような状況下で釜石市は、民間に設計施工を委託し、完成した建物を買い取る方式に踏み切った。建築家の「作品」をつくるという従来型の取り組み姿勢を根本から問い直し、限られた条件下で何が可能かを見極めながら取り組んだ仕事である。また釜石市では、阪神・淡路大震災において多くの孤独死が発生したことへの反省から、復興公営住宅にリビングアクセスを導入し、住民相互が繋がることのできる住まいを目指した。しかし現実のコミュニティは、異なる地域から移り住む人、親戚同士で近くに住みたい人、若い共働きの夫婦、高齢者の一人暮らしなど、複雑である。 こうした被災地特有の建設事情、コミュニティの様相を解像度高く見極めたことが、関係性のデザインという発想につながっている。

デザイナーの想い

復興公営住宅の色彩計画も、今回の計画の一つの柱である。釜石市の将来の街の色彩計画を、一つの色で統一しようという議論があちらこちらで始まった時点で、私たちはむしろ、すでに進行していた自力再建の方々の色彩の自由を担保しながら、復興公営住宅の色彩計画が、将来の街の風景として、また復興の記憶として刻まれるようなあり方を模索した。そこで釜石市の花である「はまゆり」の美しい花の色から建築に使えそうな色彩をカラーチャートとして作成し、今後も進む復興公営住宅の色彩は、その中から自由に色を選ぶという仕組みを考えた。大町ではその中から4色、天神においても3色選んで展開している。街のあちらこちらに建ってゆく公営住宅が、ピンクからオレンジまでの華やかな色調を身に纏えば、三陸の岸壁に力強く咲く美しい「はまゆり」のように、今回の復興公営住宅群が、力強くも美しく街を彩っていくのではないかと期待している。

仕様

○大町復興住宅1号  敷地面積;2,053.48㎡、建築面積;1,166.91㎡、延床面積;4,292.03㎡、主体構造;鉄骨造、規模;地上6階建て   ○天神復興住宅  敷地面積;8,552.18㎡、建築面積;1,250.17㎡、延床面積;3,589.07㎡、主体構造;鉄骨造、規模;地上5階建て

審査委員の評価

復興公営住宅は、どのエリアの建物に入るかが抽選によって決まるためコミュニティが希薄になりがちでである。その中で「縁側」と呼ばれる幅2m以上の共用通路を外周にぐるっとまわし、そこへ住人が生活をはみ出しながら暮らすことで互いの距離のとりかたを調整できるデザインになっている。また「通り庭」と呼ばれる中庭に向けた開口が大きくとられ、見下ろしながら他者の気配を感じることもでき、縁側と中庭の2方向に対し、住み手が選択しながら暮らしつつ、つながれるデザインが秀逸である。

担当審査委員| 篠原 聡子   猪熊 純   西田 司  

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