GOOD DESIGN AWARD

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CC

2015

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

受賞対象名
研究施設 [日本無線 先端技術センター]
事業主体名
日本無線株式会社
分類
業務用の建築・施設
受賞企業
日本無線株式会社 (東京都)
株式会社日建設計 (東京都)
受賞番号
15G100983
受賞概要
2015年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

無線衛星通信を研究・実験するこの研究施設には屋外実験用バルコニーがあり、外装は多方向にずれて張り出したバルコニーの集合によって形成されている。長野の良好な実験環境により、屋上共用実験場に加え、各階のバルコニーでも簡易な実験が可能となり、屋外実験と室内での研究の連携を高める。建物中央には全フロアを貫くらせん状の吹き抜け、中間踊場フロアを設置し、6階建のワークプレイス全体を障壁のない立体的なワンルームとして利用できる。屋内外が有機的・立体的に連続し、空間が多様性を持つことで、研究者の働き方の自由度が増し、知的生産性の向上、コミュニケーションの活性化、研究スタイルの革新、情報発信の強化に寄与する。

プロデューサー

日本無線株式会社 五島周一

ディレクター

株式会社日建設計 河副智之

デザイナー

株式会社日建設計 河野信、西川昌志

詳細情報

http://www.jrc.co.jp/

利用開始
2014年12月
販売地域

日本国内向け

設置場所

長野県長野市稲里町1163番1

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

内外が有機的・立体的に連続するワンルームのワークプレイスにより、「世界一、世界初の技術開発を目指す」

背景

百年の歴史を持つ日本無線は事業構造改革の一環として、主要な研究開発拠点を東京から長野に移転・統合した。事業所移転と新たな研究所の計画を機に、企業文化の変革を図るとともに、自然の豊かな地方で研究者の感受性やモチベーションを高め、イノベーションにつなげる目的である。また、東京一極集中に対する災害等リスク回避となる上、若い労働力やグローバルな企業資本を地方に根付かせ、地域活性化、地方創生にも貢献する。

デザイナーの想い

ワークスタイルの変革という一般的課題と、屋外衛星通信実験という稀有な研究スタイルを持つ企業の固有課題。これらはイノベーションという目的の前に表裏一体であり、如何なる企業も類似の状況にある。コアの分散配置により吹き抜けと屋外実験バルコニーは有機的に連続し、社会性と特殊性が協奏した研究施設となっている。この建築により一企業の研究開発の促進に留まらず、ワークスタイルの社会的変革が加速することを期待する。

企画・開発の意義

事務所・研究所における3つの破壊的創造の取組みである。1.コアの分散配置により「事務室+コア」の近代的形式の膠着状態から脱し、間仕切のない一室空間で研究者が自由に働き方や場所を選べる環境とした。2.吹き抜け、中間踊場フロアを執務空間内に設け、「床」という絶対的分断を解き、セクショナリズムの撲滅を図る。3.従来の屋上実験場に各階の簡易実験用バルコニーという選択肢を加え、実験と研究の間の距離を縮める。

創意工夫

1.動線や設備諸室、水廻り等のコアを外周に分散配置することで、コアから解放された中央と、分散配置された諸室の隙間のひだ状の外周小空間が生まれる。コミュニケーションの核となる開放的な中央空間と研究者が個人作業に集中できる外周空間がレイヤー状に境界なく展開し、多様な空間が有機的に繋がるワンルームとなる。2.吹き抜けは各階でらせん状に配置をずらし、打ち合わせ等が可能な中間踊場フロアや社内発表等が行える大階段を設け、単なる空隙ではなくアクティビティによってフロアが繋がり満たされる空間とした。3.バルコニーは各階で交互に配置をずらし、仰角の開けた実験空間を確保することで、周囲の通信基地局や空の衛星との通信実験を行うことができる。また、実験用途のみならず、リフレッシュ空間や避難階段、消防動線、庇状の日射遮蔽効果を生む環境装置としても機能し、実験の方位や日射の角度、動線等を考慮した配置・形状としている。

仕様

用途:研究所、構造:鉄骨造、地上7階、敷地面積:9955.95㎡、建築面積:2816.07㎡、延床面積:13270.52㎡

どこで購入できるか、
どこで見られるか

長野県長野市稲里町1163番1

審査委員の評価

とかく閉鎖的になりがちな研究施設を、あらゆる観点で革新的に変えた無線衛星通信会社の研究棟である。身近な実験環境として必要なバルコニーは、建物に躍動感と軽快さを与え、また分散配置した動線は、人の動きやコミュニケーションを活発にするだろう。さらに有機的にからまる内部の吹き抜けは、単に社員間の交流の場を超えて、社外の人も招くことのできる格好の見学コースにもなりそうだ。このような研究施設は、様々な観点で知的生産性を高めてくれるだろう。

担当審査委員| 千葉 学   五十嵐 太郎   石川 初   日野 雅司  

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