GOOD DESIGN AWARD

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CC

2014

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

受賞対象名
特別養護老人ホーム [えびの涼風園 新館]
事業主体名
社会福祉法人慈愛会
分類
住宅・住空間
受賞企業
株式会社アトリエ9建築研究所 (東京都)
社会福祉法人慈愛会 (宮崎県)
受賞番号
14G100893
受賞概要
2014年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

えびの涼風園は「風景と対話する」というコンセプトのもと、要介護度3〜5の方を対象とした特別養護老人ホームです。敷地は宮崎・熊本・鹿児島の県境、四方を霧島連山などの山々に囲まれたえびの市の市内から少し外れた、田んぼと川に挟まれた場所です。この地の大きな特徴は、季節や天候により風景が劇的に変わることです。例えば春の稲作時には水が引かれて周囲は湖のようになり、秋の収穫時には田は黄金色に、山々は真紅に染まります。 入居者の多くはこの地に生まれ育ち生活を送ってきた人たちなので、彼らの人生の最後のときを、この地の独自の自然に抱かれてゆったりと穏やかに過ごすことができる施設です。

プロデューサー

呉屋彦四郎

ディレクター

塩田能也

デザイナー

呉屋彦四郎+塩田能也

詳細情報

http://www.atelier9.co.jp

利用開始
2013年4月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

宮崎県えびの市大字岡松字河原1

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

入居者がこの地の自然に抱かれるように過ごすことができるよう「風景と対話する」を掲げました。

背景

えびの涼風園は昭和48年に開園し、特別養護老人ホームとしては宮崎県内の初期の施設として長年西諸地区の福祉事業の一環を担ってきました。しかし建物の老朽化や耐震化の問題が生じ、川の氾濫により床上浸水の被害も受けました。さらに周辺地域の高齢化もあり医療福祉への需要が高まっていました。アトリエ9は過去にえびの涼風園の増築棟を建てた実績があり、地域性を理解しているため新館の設計に携わることとなりました。

デザイナーの想い

人生の最後の時をどのように迎えたら良いのだろうか。この地で生まれ育った人たちが、故郷の風景に包まれて、親しい仲間と穏やかな時間を過ごしたいと思うのは自然な事ではないでしょうか。 「風景と対話する」とは彼らの生きて来た時間や記憶との対話であります。 部屋を出ると思い出いっぱいの風景が広がっています。この風景に包まれて家族のように団欒をしている姿を見るたびに、穏やかな時間が長く続く事を祈る思いです。

企画・開発の意義

入居者はこの地で生まれ育った人々です。彼らが最後の時を、この地の豊かな自然に抱かれて移ろう光や流れる風を感じながら、ゆったりと過ごせる風景の提案をすることが、この施設の価値と考えました。その風景は現実の景観・景色だけでなく彼らの生きてきた時間・記憶を呼び起こし自分自身や仲間との対話を深め、穏やかなときを過ごすことができるのではないかと考えました。

創意工夫

入居者の居室はもちろんのこと、施設のどこにいても遠くの山並みや田園風景を感じられ、視線がさまざまな空間を突きぬけて周辺の自然へと伸びていくよう柱や壁の配置を操作しています。3000㎜×3000㎜の基礎グリッドで構成し、中庭に面した個室の境界で耐力壁を確保することで外周部の多くを開口部とし、周囲の風景を連続させています。 また、建物外周を縁側のような廊下で囲み共同生活コーナーとし、入居者のパブリックな部分と介護者のパブリックな部分を一体にすることで、ひとつの家のような空間としています。 施設での日常の生活空間と周りの田園風景をより近くするために木造平屋建てとし、地元の県産材をふんだんにつかって木の温もりによる優しい柔らかさを表現しました。 また、すぐ傍に流れる川内川は数年に一度氾濫することがあるため、過去の最高水位よりも高い床高に設定し、自然の怖さに対する安全面にも配慮しています。

仕様

敷地面積11,127.96㎡ 建築面積4,925.11㎡ 延床面積4,421.63㎡ 木造一部鉄筋コンクリート造平屋建て 入居定員86名

どこで購入できるか、
どこで見られるか

宮崎県えびの市大字岡松字河原1
株式会社アトリエ9建築研究所
田島ルーフィング株式会社
小川重雄写真事務所

審査委員の評価

予想される水害対策として施設全体の床を平均1m持ち上げ、木造に不可欠な耐火性能に対しては、適切に配置されたRCコアで手際よく解決しながら、全体として伸びやかな木造建築の魅力を醸し出している。各所に中庭を設けて個室を内側に向け、外側の共用部は周囲の風景に開くようにするなどプランニングの工夫も秀逸である。

担当審査委員| 古谷 誠章   篠原 聡子   難波 和彦   日野 雅司   松村 秀一  

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