GOOD DESIGN AWARD

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CC

2013

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
ローカル私鉄のための活性化ツール [手でめくる卓上時刻表ー弘南鉄道大鰐線]
事業主体名
K列車で行こう実行委員会
分類
公共のためのメディア・ソフトウェア・コンテンツ
受賞企業
蟻塚学建築設計事務所 (青森県)
受賞番号
13G141109
受賞概要
2013年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

地方の小さな私鉄である弘南鉄道を応援する市民が、生活者のための交通インフラとして地元民の生活を豊かにし続ける挑戦の一環として製作したものである。クルマ依存の高い雪国における鉄道利用促進の足掛かりとして、繁華街で飲んで帰る人を対象に鉄道利用をさりげなく促す、従来とは異なるデザインの時刻表を開発した。日本のどの地方でも厳しい状況にあるローカル私鉄は、生き残りのため観光列車化の戦略を採用するところが多い。しかし、地元の生活者のために発足したローカル鉄道はその役割を担い続けてこそ存在意義があると考え、地元民をターゲットとし、さりげなくしかし確実に変化を起こすような取り組みに挑戦している。

プロデューサー

蟻塚学建築設計事務所 蟻塚学

詳細情報

http://www.aritsuka.com/site/products/

利用開始
2013年3月
販売地域

日本国内向け

設置場所

弘前市内および大鰐町内

受賞対象の詳細

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

卓上に置ける形と文字の視認性の高さによって、少し離れたところからでも瞬時に次の発車時刻が確認できるようになっている。また、手に取りやすいサイズでめくって楽しむこともできるため、鉄道に関心の無い人の興味も引きやすくなっている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

モータリゼーションが進んだ地方都市で鉄道利用者を増やすということは、地元民のライフスタイルを変化させることに他ならない。繁華街と住宅地を結ぶ弘南鉄道は、郊外のチェーン店ではなく個性的な店が競い合う繁華街で飲むという豊かさを、タクシーや代行を使うよりも安価に支えることができる。鉄道を使うことでもっと豊かな生活を得られるという実感がライフスタイルにささやかな変化をもたらせると考える。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

鉄道産業を取り巻くデザインは、長い歴史の中で強固に定型化・固定化されているものが多く、時刻表もその一つである。それが熱烈な鉄道ファンを惹き付けている一方で、鉄道から離れてしまった人々の興味を置き去りにすることにもなっているのではないかと考えた。従来の時刻表とは全く異なるデザインが、人々の鉄道に対する固定化されたイメージに風穴を開けることができると信じている。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

この取り組みは、単にローカル私鉄の救済だけではなく、多くの地方都市で直面している中心市街地の空洞化への対策も兼ねている。そして、中心市街地が魅力的であり続けるということは、地元民の生活の質の豊かさにも繋がる。また、地方都市での過度のクルマ依存を緩和することによる温室効果ガス低減という効果もあり、地方都市の住民の豊かで環境に優しい生活の一助になると考える。

ユーザー・社会に伝えたいこと

人口減少著しい地方において鉄道はもはや消えてしまう運命なのかもしれない。今やローカル鉄道だけではなくかつての商店街や地域のお祭りなど、衰退する時代に飲み込まれているものは無数にある。しかし、私達にとって必要なのは「仕方がない」と諦めることではなく、知恵をひねり出して工夫を積み上げて、大切なものを守ろうと必死に抗うことだと思う。それこそが現代の地方でポジティブに暮らすことそのものだと考えている。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

弘前市鍛冶町周辺の飲食店、大鰐町内の飲食店など

審査委員の評価

地元の交通インフラであるローカル線に対して愛情を感じるデザイン展開であり、地域の状況が想像できる身の丈にあった企画と表現が評価できた。素朴なデザインでありながらも、その目的は地元ローカル線の存続に対する取り組みであり、さりげないデザインを通じて地域の大きな課題に寄与する挑戦は、デザインの社会的意義をあらわすものである。また居酒屋のカウンターでさりげなく時刻表をめくり交わされる常連客と女将の会話を誘すコミュニケーションデザインとしても評価に値する。

担当審査委員| 中谷 日出   池村 明生   林 千晶   吉田 順一  

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