GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
町家と住宅 [町家と住宅]
事業主体名
とのま一級建築士事務所
分類
住宅・住宅設備
受賞企業
とのま一級建築士事務所 (大阪府)
受賞番号
12GA10572
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

このプロジェクトは、神戸市須磨区の細長い敷地に建つ小さな戸建て住宅である。どの町にもその場所固有の暮らしがある。そこでの住まいを「町家」と呼ぶのだろう。「町家」が建つような小さな敷地の中には、固有の小さな環境が存在し、「町家」はそうした小さな環境をより大きく内部に取り込む形式(開放的な三間構成や建具などの柱間装置)を備えている。ここでは、このような「町家」の形式に習い、細い敷地内に吹き込む瀬戸内海からの海風や周囲の建物の隙間から入るひとときの陽射しといったこの場所の小さな環境を捉えながらも、新しい生活を決断した家族のために設計を行った。

デザイナー

とのま一級建築士事務所 河田剛

利用開始
2012年4月21日
販売地域

日本国内向け

設置場所

兵庫県神戸市須磨区

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

持続可能な社会とは、今の生活が過去の持続の結果であることを踏まえ、今より先の社会要求に対してどのように応えていくことだと考えます。ここでは、山と海に囲まれた町の環境、それが小さな敷地の中でどう住まいに成るかを考える上で、小さな環境をより大きく内部に取り込むことができる「町家」の形式に習いました。昔ながらの原則的な型式を周囲にダイナミックに適応させることで、内部の空間や環境の豊かさを生み出しています。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

町家とは、町に住む上での最小限の住まいであり、内部空間は身体的な大きさであります。この住宅も同様に天井高さを低く抑えた身体的スケールをもちながらも、三層吹抜部分が南と東側に大きなガラス面を持つことでダイレクトに外の空間とのつながりを生み出しています。ここでの「町家」とはこうした身体的スケールと町的スケールが隣り合わせにあることで、家の中で町のような住まい方ができる住宅といえます。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

町家の細長い敷地で豊かな生活をもたらす平面構成を踏襲し、二列(通り庭と部屋)と三間構成(前・中・奥の間)とした上で、さらに三階建てにしています。通り庭は水回りや生活動線であり、部屋は生活を行う所です。そして中の間によって、広がりのある領域が生まれます。この「中の間」部に三層の吹抜をとることで、全体をつなぐ大きなワンルーム空間となり、ここが小さな環境と地域との接続部分となっています。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

現在の住宅産業は、生産の現場で継続された尺寸法で規格化されています。こうした規格は建築生産上の利点だけではなく、低く抑えられた天井高さと、外や吹き抜けに設けた窓や部屋への出入口を尺寸法で幅一間半と高さ六尺(障子三枚分)にすることで豊かな空間の中に昔ながらの町家の営みをスケールをもって感じることができます。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

固有の地域に建つ住宅においては、地域社会、地域環境を考えることになります。この地域は阪神大震災の被害の程度が大きかった場所であり、周囲には密集市街地でないにもかかわらず、間口の狭い敷地が多く見られます。同じような敷地のこの場所で、この場所固有の周辺環境とのつながりを考えることは、こうした環境の集積である神戸市須磨区の地域環境を考えることだと言えます。

ユーザー・社会に伝えたいこと

東日本大震災によって私たち自身の身の回りに対する関わり、そして日常接する地域のつながり、自然環境、家族の存在について改めて真摯に向き合うことの大切さを感じました。日々の暮らしの中で、周辺の地域性を感じ、この場所固有の小さな環境を取り込むことができる「町家」のようなこの住宅を通じて、それらを伝えたいと思います。

審査委員の評価

間口が狭く奥行きのある都市的な敷地に、3層の吹き抜け空間を坪庭にみたてるような町家という伝統的な形式を彷彿とさせる空間構成を用いながら、土壌蓄熱式輻射床暖房システムによる「全館暖房」、「深夜電力5時間通電運転」による省エネなど現代の技術を適切に利用し、プランニングと連動させて通風・温熱環境をコントロールしたパッシブデザインを実現しているところが、評価できる。また、シンプルなプランながら、2か所の吹き抜け空間によって階層間の行為が有機的に繋がる工夫も評価できる。

担当審査委員| 難波 和彦   安積 朋子   篠原 聡子   安田 幸一  

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