GOOD DESIGN AWARD

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CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
個人住宅 [母の家]
事業主体名
吉元学
分類
住宅
受賞企業
株式会社ワーク・キューブ (愛知県)
受賞番号
11G05058
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

設計者が高齢となった自分の母のために設計した住宅である。人と人とのつながりが希薄になったと言われる現代社会において、高齢者の独居生活に対する様々な問題が提起されている。本計画では内に篭りがちな独居生活に対して、周囲の人々や環境とゆるやかなつながりを持たせることで、家主の生活における意識を常に外に向かわせることを意識した。生活は家の中だけで営まれるのではなく、町の中で営まれるものだと考えた。家主である設計者の母が生まれ育ってきたこの町には多くの知人がおり、たくさんの思い出がある。その人々とゆるやかにつながりを持ちながら、のどかでゆったりとした思い出の風景・環境と溶け合うような住宅を目指した。

プロデューサー

吉元学

ディレクター

株式会社ワーク・キューブ 桑原雅明,平野恵津泰,吉元学

デザイナー

株式会社ワーク・キューブ 吉元学、貞村道俊

左:吉元学 右:貞村道俊

利用開始
2010年11月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

愛知県蒲郡市

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

本計画の敷地は三方を山で囲まれ南には三河湾が広がる景勝地に位置している。この周りの環境や景色に溶け込むこと、さらにはそのゆるやかな変化に同調していくこともサステナブル社会への実現につながるのではと考えた。緑化された大屋根は手が届くような位置にあり、周囲の山々や土手、田圃の畦道に溶け込むようなデザインとしている。そしてこのデザインには穏やかで美しい景色がいつまでも続くことへの願いも込められている。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

不特定多数の利用者を想定した公共的建築に対し、「家」は使い手が特定される建築である。この住宅では比較的小柄で高齢となった家主に合わせた寸法を採用している。軒先の高さは周囲とのゆるやかなつながりを実現させ、家主の生活に支障が出ないように高さを1.6mに抑えている。室内は狭くも広過ぎることもないように一人暮らしに最適な平面の広さを用意しつつ、勾配天井とすることで空間の広がりを感じる計画となっている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

周りの人々との生活や環境とのつながりを持つことで家主の暮らしが外へと広がっていくことを考えた。室内からは人々が歩いてゆく姿を眺めることが出来る。子供たちは屋根の芝生に花の種をそっと投げる。通りかかった近所の知人は家主の気配を感じると声をかけてゆく。この家はただ生活する箱なのではなく、人と人とをつなぐコミニュケーションツールとなった。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

家づくりから人と人とのつながりが実現できないかと考え、人を募って屋上緑化の工事を行った。土入れ・芝生張りを大勢の知人に手伝ってもらっており、手伝って頂いた方々には、この家は自分も一緒に作ったと感じてもらえているのではと思う。今後も屋根のメンテナンス等を通じて、高齢となった家主と周りの人々との交流が続いてゆくだろう。モノづくりが人と人とのつながりを産み出す構造の一つになったと感じている。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

室内空間を広く感じさせるための勾配天井をそのまま勾配屋根とすることで大屋根を望むことが可能となり、また軒先を出来る限り低くしたため緑を近くに感じることが出来る。この緑の屋根は周囲の山々や近くを流れる川の土手といった景色と溶け合うデザインとなっている。季節に合わせて変化する屋根は、安らぎと共に四季の彩りを人々に与えてくれる。その彩りは周囲の人々の生活とも溶け合い、常に人々の注目を受けることになる。

ユーザー・社会に伝えたいこと

住宅には安心感が必要だと感じている。しかしそれは閉じることで得られる箱に守られた安心感だけではない。周囲とのゆるやかなつながりを持つこと。お互いに意識して守り合うこと。それにより得られる安心感も重要である。自らの生活・存在を周囲にそっとアピールすること、知人の声や歩いている姿といった気配や周りに広がる風景といった外の環境を取り入れること、そのつながりこそこれからの住宅には必要なのではないだろうか。

審査委員の評価

住宅と地域とのつながりを、様々な次元で獲得しようとしている試みがユニークである。通りに向いた腰掛けのような土間空間、地域の庭のような屋上庭園など、コミュニケーションのきっかけに満ちた仕掛けに多くの可能性が秘められている。

担当審査委員| 難波 和彦   千葉 学   手塚 由比  

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