GOOD DESIGN AWARD

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2008

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
医療用はさみ [ジョーウェル・エルゴ・スーパー剪刀]
事業主体名
株式会社東光舎 + 株式会社メディカルR&D
領域/分類
社会領域 - 医療・福祉に用いられる機器・設備
受賞企業
株式会社東光舎 (東京都)
株式会社メディカルR&D (東京都)
受賞番号
08B10025
受賞概要
2008年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

手術中、臓器の剥離・切断の目的に使用される医療用剪刀(ハサミ)に対して、デザインと機能性を大きく改善した製品を提案する。剪刀の持ち手部分にエルゴノミクスデザインを導入し、手指との接触面積を増やすことで手になじむようにした。これにより刃先のブレを抑えることと、刃先に指の力を正確に伝えるという基本機能を大幅に向上させた。同時に、剪刀の持ち手が指に食い込む状況が解消された。また器械台から容易に取り上げることもできるようになり、指の食い込みの解消とともに、円滑な受け渡しが可能になった。更に、刃先の先端にレーザーマーキングを入れ、内視鏡の拡大画面においても、刃先が組織に侵入する深さの視認性を向上させた。

プロデューサー

株式会社メディカルR&D 代表取締役 宮武哲也+千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター 手術・生体機能支援機器研究部門 教授 五十嵐辰男

ディレクター

株式会社東光舎 常務取締役 井上研司 + 千葉大学大学院 工学研究科デザイン科学専攻 准教授 下村義弘

デザイナー

千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター 開発設計試作工房室 関根雅

千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター 関根雅

詳細情報

http://www.medrd.jp/supersentou.htm

発売
2008年4月28日
価格

125,000円

販売地域

日本国内向け

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

手術に使われる鋼製小物は旧来の形状のままであり、最先端のデザイン技術が生かされていない。使いにくさを補うために医師側に身体的、技術的負荷がかかっている。剪刀は手術の重要な局面で使用されるため、切れ味、操作性が手術の質や安全性にかかわってくる。現場の医師の意見を入れ、持ち手形状を大幅に変更し、剪刀の刃先の操作性を上げ、長時間使用しても疲労の少ない、手になじむ器具を作ることを目標とした。

デザイナーのコメント

開発当初から、製品化になるまでの細かな改良・変更の積み重ねが本対象品に集約されている。新しい医療機器をデザインする仕事は、プロフェッショナルとしての医師の要望に、すべて満点の答えを出すということでもあり、予想以上に大変な仕事だというのを実感した。本対象品が発売され、全国の医療現場の医師から最良の評価をいただけると、デザイナーとしての役割は果たせたということで、苦労が報われる。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

今回の応募対象品は外科・泌尿器科などの体表から深い部分である骨盤内臓器の開腹摘出手術での使用を対象としている。ただし、長さや先端形状を変更することにより、耳鼻咽喉科・眼科・脳外科・整形外科向けに、同じコンセプトで専用医療器具への応用が考えられる。持ち手の形状は、複数の対象者を調査し、標準的な日本人に合う寸法を採用しているので、アジア系人種には、そのまま適応できると推測する。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

剪刀(ハサミ)の持ち手に、手術者の手指が馴染み、十分な接触面積が得られるため、器具の操作性が向上し、手術の質の向上に貢献する。刃先のブレが無くなり、指先の操作が刃先に正確に伝わることは、無駄な出血や予期しない損傷を回避して手術の安全性を増す。更には、手術者の指が痛くないので、手術への集中力が持続し、刃先が内視鏡ライトでの反射を抑えて視認性が向上するので手術や患者にも優しい医療器具である。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

製品開発に当たり、現状使われている剪刀(ハサミ)の固定概念を捨て、改良点や理想形状など、複数の医師の自由な討論が開発の基にある。そのアイデアを取り入れながら、製品化を前提に開発コンセプトに沿ったデザインと試作、修正を繰り返す作業を行っている。この間、10回以上試作を重ね、その度に医師からの総合評価を受けることにより、最終的に、日本人医師の希望に適う形状を追求した結晶として、本対象品が出来上がった。

その問題点に対し、どのように対応したか

最近医療が高度化し、安全性や丁寧な患者説明など患者側の要求は高まるばかりである。一方医療費の削減などにより、医療側の負担が増え、医療事故・ヒヤリハット事故が起こりやすい状況にある。特に、手術現場は、医療事故が起こりやすい環境にあり、それを未然に防ぐ医療器具の改良は重要である。医師が快適に仕事に打ち込めるように、手術環境を整え、より良い状態で、手術に挑んでもらうことが急務になっている。

審査委員の評価

本対象は、持ち手部分にエルゴノミクスデザインを導入し、接触面積を増やすことで手になじむことを実現、刃先のブレを抑え、刃先への指の力の正確な伝達という基本機能を大幅に向上させていることがわかる。また、開発当初から、製品化になるまでの細かな改良・変更の積み重ねが本対象品に集約されていることも伺え評価できる。新しい医療機器は、プロフェッショナルとしての医師の要求にすべて答えたデザインであることが伺える。

担当審査委員| 森山 明子   大月 ヒロ子   福田 哲夫   渡辺 誠  

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