GOOD DESIGN AWARD

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CC

2008

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
ファイブ・ペニイズ [ギャラリー]
事業主体名
有限会社 インテリア館多田
領域/分類
産業領域 - オフィス・商業施設、生産施設
受賞企業
多田裕之+secondbrain (香川県)
受賞番号
08B09011
受賞概要
2008年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

築40年余になる軽量鉄骨造の建物を改装した店舗である。この建物のある地域は香川県のやや東寄りに位置し街でも田舎でもない、しかし日本で多く見られるような場所である。そんな場所に主にクラフト作家の作品を扱うギャラリーとカフェが作られた。コンサートや会合などのイベントも行われるためフレキシブルであると共に寡黙でありながらも力のある空間が必要であった。既存の建物自体は古く、むしろボロと言ってもいい。しかしポイントを「古さ=時間」に置き、デザインは「人」「事」を演出する脇役に徹したことが功を奏し既存空間がポジ、新規空間がネガという通常とは反転した超現代的なギャラリー空間が生まれた。

プロデューサー

ファイブペニイズ 代表 多田寿代

ディレクター

多田裕之

デザイナー

多田裕之

多田裕之

利用開始
2007年6月29日
販売地域

日本国内向け

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

目標は日本全国どこにでもありふれた中途半端な建物と景観をデザインサイドから再生していく手法の開発である。それにはスクラップアンドビルドでも新築のように覆うのでもなく、物質に染み込んだ「時間」に敬意を払いつつ現代を表現することが文化と環境にとって重要であると考えた。極めてシンプルな3つの操作、「撤去」「挿入」「分節」によって既存空間と新規空間を重ね合わせる。関係性のデザインである。

デザイナーのコメント

建築デザインの持つ可能性をより多くの人に体験してもらいたいと考えた。古民家のように味があるわけでもなく、ボロといってもいいような建物であっても命を宿すことができる。それは「古さ=時間の蓄積」と捉えなおすことで新たな視点が生まれるからである。脇役に徹しきったデザインが古さと重なり合い一段飛躍したこの場所は中途半端な建物と町並みに対する一つの可能性を示せたのではないかと考える。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

アート、デザイン、クラフトに興味のある人はもとより、ゆっくりした時間を過ごしたいと考える利用者を想定した。日常生活の慌ただしさに追われていたり、毎日が同じようなことの繰り返しの場合気分を変えたいという気持ちを持つものだが、多くの場合特に中途半端な田舎ではなかなか難しい。旅行でもしたいと考える人もいるだろう。そういった利用者に対する回答でありたいと考えた。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

「ゆっくり」にも種類があるが旅に出た時のような解放された気分の「ゆっくり」は日常生活で得るのはなかなか難しい。この場所で実現されたのは日常を非日常化することで旅に出た時の“どこか違うところに来た”ような気分へと変化が起きるという発見である。見慣れた風景が新鮮に見えるという単純な驚きは毎日の生活を再発見することにつながる。日常の中にこそ奇跡は埋もれているのだと。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

築40年という時間に敬意を払い外形はほぼそのままに最小限の手を加えるに留めた。内部においては満たすべき機能を満たした上で張りぼてのように重ねられた内装を全て撤去。サッシなどは全て既存のものをそのまま使い、一部新たに開口した部分は極力目立たないように処理した。建物の記憶を継承することで人々の思いも残しつつ同時に現代的な空間を内包させることで、より記憶を際立たせる結果になった。

その問題点に対し、どのように対応したか

日本全国に広がる中途半端な建物と風景に対する回答が必要であると考えた。町を見渡せばハウスメーカーにより量産された一般住宅や低価格の建材で覆われた建物が溢れている。30年前の建物などの中には見るも無残なものがある。しかし30年という時間はそれに対する30年分の思いを住む人々、あるいは周辺の人々の脳裏に焼き付けているものだ。その思いと、スクラップアンドビルドが環境に与える影響に一石を投じたいと考えた。

審査委員の評価

築40年の平凡な軽量鉄骨造の建物を、その文脈を読み解きながらデザインの力で空間に新しい生命を再生させている。イタリアでレスタウロと呼ばれる建築の手法であるが、建物のライフサイクルが短い日本では未だ少ないが、今後さらに開発されなくてはならない方法である。その手法を評価した。

担当審査委員| 安田 幸一   乾 久美子   川上 元美   北山 恒  

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