「生活の向上と産業の高度化」というと、お役所の文書などによくある文言のように受けとめられがちですが、実はこの語句の中で「と」の部分が重要なのです。生活の向上も、産業の高度化も、それそれを達成していく手段・方法は様々に考えられます。しかしその両者を同時に実現できるのは、「デザイン」をおいてほかにはありません。この「デザインにしかできないこと」を明らかにしていくことが、「グッドデザイン賞」の具体的な活動です。
少し具体的に言うと、私達の生活をより豊かにするであろうものごとを「グッドデザイン賞」に選びます。そのことを受賞対象に付けられる「Gのマーク」を通じて生活者に問いかける。このマークが生活者に支持されれば、このことが良き見本となって産業活動が軌道修正されていきます。その活動が新しいデザインを生みます。そしてそのデザインをさらに評価する、といった活動を、50年近くも毎年継続してきたのです。
「産業と生活を結ぶ好ましい循環を造ること」と言い換えても良いと思いますが、こうした循環は21世紀を迎えた今日、さらに重要となってきました。生活者と産業の関係がかならずしもしっくりいっていない、それ以前に、なにをもって社会を進めるべきかといった合意すら得られていない。そうした時代だからこそ、デザインに大きな期待が寄せられているのです。
ただしこの実現は、今までのように容易ではありません。様々な試行錯誤を受けとめ、「社会を推し進める」という視点から評価推奨していくことが、「グッドデザイン賞」の今日の課題となってきたのです。