GOOD DESIGN AWARD

グッドデザイン賞受賞概要

2013年度|審査講評

ユニット1 生活領域・身辺のデザイン(廣田 尚子 プロダクトデザイナー)

個人用品、育児・介護用品など

今年のユニット1は応募総数が多いだけでなく、生活を変える画期的な提案が数多い豊作の年。デザインがやるべき事はまだまだあるという力強い声を応募企業からいただいているように感じ、熱い思いで審査を終えました。そして9点がベスト100に選ばれる素晴らしい結果となりました。

今年のキーワードは、「技術の転化」「技術を考案する力」「使い続けられるための工夫」「心理環境の質的向上」があげられるでしょう。

アシックス[硬式野球用バッティングヘルメット](13G010115)ではインジェクション成型から真空成型へ、鯖江みみかき(13G010066)では福井県鯖江の眼鏡技術を耳かきに転換。多分野で使われている技術を取り入れる、持ち前の技術を多分野で活かすことで製品に新たな息吹を吹き込んだ好例です。

ユニ・チャーム[紙おむつ](13G010058)(13G010059)は、立体成型という難しい生産加工技術の行程を考案して実現化する力、西村金属[ペーパーグラス](13G010015)は、折りたたんだ老眼鏡が厚さわずか2mmのコンパクトな設計と生産までの技術を考案する力が注目を集めました。

エムズジャパン[ライフジャケット](13G010122)、健康を管理する医療サポート計測機器の分野での潮流は、ユーザーに継続的な使用を促すことがコンセプトとなって、ソフトとハードの両面から開発が緻密に行われ、長く使い続けられるための上質な工夫が製品の質を高めていることでした。これは成熟した社会でデザインが担う大きな側面として注目しています。

心理環境の質的向上では、カシオ[G-SHOCK](13G010002)、ヤマハ[サイレントプラス](13G010139)の2点で機能の追求もさることながら最終形状が美しく、所有する喜びに到達する完成度の高さが際立ちました。

今年の審査を終えて、生活に密着したこの分野では「高性能」という概念が高速高精度という正確さから、技術とデザインがシンクロして「人の心の有り様を支える」ことにまで広がっていく進化を予感しています。

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ユニット2 生活領域・生活のデザイン(1)(山本 秀夫 プロダクトデザイナー)

日用品、生活雑貨、パッケージなど

このユニットでは文具、食器、調理機器、家事用品などの日用品、パッケージ全般を取り扱います。今年の審査テーマは「釣り合いの美」ですが、このユニットで評価を集めたのは「丁寧な仕事」でした。使用者、生活、環境との釣り合いを見据え、丁寧に考え、つくれられたものは大きな感動を与えてくれます。
「オルファ・オルファカッター Aプラス(13G020140)」、「三菱鉛筆・蛍光ペン/プロマーク ビュー(13G020141)」をはじめとする文具類は、既に成熟した製品であっても、更なる使いやすさを求めれば進化ができることを示しています。この姿勢こそが日本のものづくりのDNAであり、これがしっかり息づいていることを確認させてくれるものでした。
今治のタオルを防災用品に仕立てた「宮崎タオル・イマバリレスキュータオル(13G020169)」は、非常時における人の行動を一つずつ分析し、役に立つ道具として編集された優れた製品です。これ以外にも今年の受賞製品には、問題を放置せず、正面から解決に挑むといった真面目な取り組みが多く見られました。
パッケージでは「東洋製罐グループホールディングス・明治屋 コンビーフ スマートカップ(13G020250)」「キッコーマン食品・いつでも新鮮シリーズ(13G020233)」など、容器としての機能を根本から見直しリデザインされたものや、「P.G.C.D. ロシオン エクラ(13G020264)」のようにリユース機能と美の調和を極めて高い次元で実現させたもの、「太洋塗料・マスキングカラー(13G020265)」のように本来B to Bで実績のあった機能をパッケージの編集技術によりB to Cの商品に変身させたものなどに高い評価が集まりました。
このユニットは、伝統工芸品の出品も多く、地元の材料を用いて匠が技を駆使したものは圧倒的な迫力を持っています。しかも昔ながらの形だけではなく、現代の暮らしにマッチさせようとする試みが目立ちました。サイズの見直し、住環境との調和、新しい素材との組み合わせなど、「用の美」を求める意欲的な姿勢が多く見られたことも嬉しく、二次審査会は、デザインがしっかり力を発揮していることを確認した時間となりました。

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ユニット3 生活領域・生活のデザイン(2)(朝倉 重徳 インダストリアルデザイナー)

調理器具、家電など

携帯電話は、スマートフォンへの移行をきっかけに、ハードキーから画面タッチに変わり、操作性も外観も劇的に変化した。画面タッチによる操作は、デジタルカメラなど必ずしもその必要性を感じない製品にも採用され、結果として製品特有の新たな使い方を創出している。これは、インターフェースの変化が道具のあり方を変えていくことを示しており、近年の家電製品の傾向といえる。

ユニット3は調理器具、生活家電などが審査対象であるが、情報機器に比べるとインターフェースの革新に遅れがあることは否めない。製品の多くは、付加機能で増えたボタンを、低コストのシートキーで対処することで、道具にとって重要な美しさを犠牲にしている。このような状況のなかで、東芝とパナソニックの洗濯機に新たな兆しが見られた。

東芝の洗濯機TW-Z96X1(13G030297)は、静電容量方式タッチパネルと表示だけが浮き出る内照LEDの組み合わせで、使いやすさと美しさの両立を実現している。東芝はインターフェースに対する共通の考え方を様々な製品に展開しているが、洗濯機に対しても、多くの課題を克服し高い完成度で導入したことで、新しい佇まいの創出に成功している。一方、パナソニックの洗濯機NA-VX9300L(13G030295)はLCDタッチパネルを使用することで、画面遷移とグラフィックの深化による高い操作性を実現すると共に、操作部外観を整理された状態に収め、そのことが製品全体の質の向上をもたらしている。

二つの製品のタッチパネルは異なる方式だが、共に煩雑になりがちな操作部を使いやすく、美しくすることでは極めて効果的で、道具そのものの佇まいを変える力を持っている。今後、様々な製品に対しても、革新的なインターフェースが検討されることで、新たな道具のあり方を導き、家電の姿を美しくし、生活を豊かにしていくことが期待される。

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ユニット4 生活領域・情報機器のデザイン(松井 龍哉 ロボットデザイナー)

テレビや携帯電話など個人・家庭のための情報機器

2013年度は、このユニットを特徴付けていたスマートフォンの応募数が少なくなっていた。これは国内キャリアの方針も影響しているが、時代の流れを象徴していたともいえる。ハードウェアとしての差別化はもはや成熟期に入っているからこそ、画期的なデザイン案が期待された。例えばUIとプロダクトデザインの統一感にその特徴を求めたものもある。今後、この分野は特に両方が融合したデザインとして一体化した評価基準が必要になる。またデジタルカメラの分野では、社会的な影響力を持っているSNSでの利用法を考慮し「ネットワークとの共存」をテーマとした商品が多かった点が今年の特徴であった。これからのデジタル製品はネットワークとの繋がりをどのようにデザインするかが製品価値をつくる。その意味でも本年は、物理的にもネットワーク環境でも総合的な使いやすさを見いだし、デザインとしての無理の無いバランスを配置した製品がグッドデザインと評価された。

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ユニット5 生活領域・住まいのデザイン(1)(五十嵐 久枝 インテリアデザイナー)

家具、インテリア用品、住宅設備など

本ユニットでは、家具・インテリア用品・住宅設備・建材など、生活領域・住まいに関わる製品を審査対象としています。生活の中で満足のゆく機能を果たしているか。住まいの中や外で存在するに相応しく、加えて新しい技術や素材・価値、環境問題などについて考慮されているかという点に注目し、審査をおこないました。
特出した製品は、照明器具にありました。今回受賞した製品すべてがLEDです。LED普及以前と今とでは、照明のデザインも考え方も大きく変わったと思います。本年度は、シェードを再生繊維の改良からつくり出した、フラットにたたむことも可能なLED照明「陰翳」(13G040324)と、家庭用照明をスマートフォンを利用してパーソナライズするLED電球「ヒュー」(13G040347)、薄型で均一な面発光LED照明「パネルミナ」(13G040352)は、未来を示唆する製品として、ベスト100にも選出されています。家具では、優れた技術を用いた木製椅子や、低価格帯であっても質の高い製品が応募されました。インテリア関連ではここ数年、木を使用する領域が広がっています。原材料に木材を使用した化粧材「ウッドタイル ボーダータイプ」(13G040409)と内窓「インプラスウッド」(13G040410)は、自社生産加工過程で排出される、素材を無駄にしない製品です。現状をさらに良くしようと見直す取り組みが現れています。
水回りでは、製品のコンセプトや性能と同等に、メンテナンス性、省エネ、節水、節湯、を強調している製品が多くみられました。システムバス「キレイユ」(13G040379)は、快適と清潔を同じ価値として、意匠性と節水シャワー・保温浴槽・キレイを永く保つ工夫を盛り込んでいます。台所製品では、インテリア性の高いレンジフード「洗エールレンジフード」(13G040375)は、自動洗浄を可能としています。ユーザーに快適な時間を還元する発想です。
エネルギーの観点では、再生可能エネルギーの活用、夜間電力を活用する機種や都市ガス・LPガス対応・貯湯タンクレスの小型コーガスジェネレーションユニットなど種類も増え、さまざまな環境で使用可能な製品も登場してきています。
さまざまな環境で使用可能な製品も登場しています。外付けシェード「スタイルシェード」(13G040412)や外装用引戸「スライドルーバー」(13G040413)は、電気や機械を使わずに心地よい環境をつくるサポート製品です。安心安全のための防犯製品では、後付けワイヤレスドアモニター、大型ドアホン・電気シリンダー錠、IDキーと充実してきてはいますが、ユーザーが子供からお年寄りまでと広がっていることに留意が必要です。たくさんの電化製品と共に増えるリモコンと操作パネルが部屋の中で煩雑にならないよう配慮も必要でしょう。また屋根瓦や縁側、組子や仙台箪笥という伝統的な素材や文化・技能を、現代に活かす試みも重要であると考えています。眠っている可能性がまだ何処かにあるのかもしれません。
審査を通して、人や環境との調和 −釣り合い− を意識し、省エネルギー・環境問題に考慮している製品が多くみられるようになったと感じました。また、新しい技術の出現によって、画期的な操作系を合わせ持つ製品が現れてきた一方で、操作方法と人の動作の関連が希薄なデザインがこの分野の製品にも見られるようになりました。生活に密着した製品であるが故に、人との関係性を見つめ直したデザインがより多く生まれることを期待しています。

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ユニット6 生活領域・住まいのデザイン(2)(難波 和彦 建築家)

住空間・戸建/集合/商品住宅など

昨年度から始まった審査のシステムの変更が2年目で定着し、第2次審査の展示が本格的になった。応募対象は、昨年度は東日本大震災に対応した、仮設住宅やボランティアのネットワークに関する活動が多かった。これに対し、今年度は復興住宅の建設の遅れもあり谷間の停滞期のように思える。それでも震災に対する技術的な提案が増加している点は注目される。この点を含めて、今年度の応募作品の傾向について整理してみよう。
今年は、これまでの主要なジャンルである、ハウスメーカーの商品化住宅、ディベロッパーの分譲マンション、都心の賃貸マンション、ディベロッパーや工務店による建売住宅や宅地開発、リノベーションとコンバージョン、アトリエ建築家の注文住宅、などに加えて、耐震技術や環境制御技術、スマートハウスのシステムなどが加わってきた。
ハウスメーカーの新商品開発:ハウスメーカーは昨年の東日本大震災後の復興住宅に対する提案に加えて、震災後の住宅のあり方を見通した新たな商品開発に取り組み始めている。少子高齢化やコミュニティ再建の対応したソフト絡みの商品開発が多様な展開を見せているのに対して、震災直後には大きな注目を集めたスマートハウスの開発は、現段階では依然として研究段階である。
分譲マンションの変動、複合化の進行:都心地域における高層分譲マンションの応募数は、依然として多数に上る。住戸に関しては相も変わらずnLDKタイプが支配的で、豪華なロビーと足元のランドスケープを附属させるというデザインは定型化したように思える。一方で都市的な公共機能と組み合わせた提案が増え、住宅部門だけが受け皿にはなら内容の複合機能化が進んでいる。一方で、小規模な分譲マンションの開発が多くなってきたことも、都市における大規模開発が難しくなってきていることを反映している。
リノベーションとコンバージョンの確立:既存住宅のリノベーションやコンバージョンはひとつの領域として確立したように思われる。かつての住宅公団の団地リノベーションは昨年あたりから本格化してきたが、さらに地域ぐるみの古民家の保存と再生も各地で展開されるようになった。
耐震構法の多様化:東日本大震災以降、木造住宅に対する多様な耐震化構法が開発されるようになった。この方向は昨年度から始まり今年度はさらに増加している。単純な耐震部品の開発から、建物全体の耐震化構法まで様々であり、地震対策の一環として、この傾向は今後もしばらくは続くと思われる。
その他の傾向:少子高齢化の潮流に対して、高齢者、母子父子家庭、身障者などが集まって住むシェアハウス的な集合住宅の試みが見られるようになった。この種の施設は、かつては行政による施策の一環として提供されてきたが、最近になって民間によるシェアハウスが出現してきた。
昨年も指摘したことだが。最近の傾向として、住宅部門と他の都市機能との境界が曖昧になり始めている。これは都市生活がコンパクトに複合化しているためで、当然の傾向である。その傾向を受けとめるように部門の再編成が、そろそろ必要な時期かも知れない。

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ユニット7 生活・産業・公共領域(山田 晃三 デザインディレクター)

モビリティのデザイン

「車輪」はすでに紀元数千年前からモノや人の移動に使用されていたのだが、「自動車」の誕生はわずか200年前にすぎない。しかし人はこの200年の間に技術をもって、陸に海に空にと移動環境を劇的に変えてしまった。審査の対象となったものはすべてがこの移動のための最新の道具たち、あるいはその周辺機器である。
「自動運転」という一方の進化の極がある。行きたいところを口にすれば安全・迅速に連れて行ってくれる。食事しながらも眠っていても可能だろう。しかし一方で、自らの意志でクルマを制御し移動そのものを実感したい極がある。トヨタ自動車株式会社の10数年にわたるパーソナルモビリティの開発は、「高度な車イス」という前者と見ていた。が、今年のi-ROAD(13G060586)においては明らかに違った。3輪ながらリーン(傾け走行)できる。身体をもって移動の新感覚を味わえる。高度な電子制御サポートなくして実現しない秀作だ。両極融合の一端を見た。
 乗用車部門では独自の進化をとげた「軽自動車」に軍配が上がる。ダイハツ工業株式会社の新型TANTO(13G060587)は、両側スライドドア、センターピラーを無くしまるで家族の居間と化した発想は日本でしか誕生しない。「走り」から開放された、新たなコミュニケーションの道具への進化なのか。対し堂々と世界市場を視野に生産システムから見直したフォルクスワーゲンのNew Golf(13G060592)には、堅実で時代に流されない美しさと圧倒的な信頼が宿る。また鉄道部門ではこれまで審査の対象が「車体」にあったが、今年はそれを支える「台車」が出色であった。新素材と新構造によって世界と戦える台車、川崎重工業のefWING (イーエフ ウィング、13G060600)は、鉄道車両の足下を見直し、新たな鉄道風景を提示した。
かつてモビリティ領域の審査はそのスタイリングにあった。前述した安全な「自動」の極と、身体が欲する「体感」の極とのせめぎ合い、あるいは「釣り合い」がこれからの焦点である。どのようなモビリティ環境をめざすのか、ここから始まり、新鮮で美しい「かたち」に帰着させていって欲しい。

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ユニット8 産業/公共領域・開発、製造の機器設備のデザイン(安次富 隆 プロダクトデザイナー)

素材、開発・生産・製造のための機器・設備など/教育、研究、医療関連の機器設備など

研究、医療、生産、製造のための機器・設備は、日本のこれからを担う基幹産業である。これらのプロダクツは、デジタル技術の進化に伴い、高性能化、高度化している。今年度は、世界で最小の物質を観察できるX線自由電子レーザー「サクラ」(13G070655)や、1000億光年もの彼方の宇宙を観察できる電波望遠鏡「アルマ望遠鏡モリタアレイ」(13G070693)といった日本のハイテク技術を結集した設備ともいえる応募対象もあった。見えなかったものを可視化する試みとしては、東芝の全身用X線CT診断装置Aquilion PRIME(13G070676)も人体の観察精度をさらに向上させている。宇宙、物質、人体の深層から得られる新たな情報が私たちの生活に及ぼす影響は大きい。例えばX線CT診断装置で得られた情報は、内視鏡下外科手術やカテーテル治療など、より人体に負担が少ない治療の進化を促進している。テルモ・クリニカルサプライ株式会社のオクリュージョン・バルーンカテーテル(13G070662)や、オリンパスイメージング株式会社の内視鏡下外科手術用エネルギーディバイス(13G070666)は、治療の安全性や確実性をさらに高めている。
これら高性能なプロダクツの生産には、高度な生産設備や機器が必要である。精密な部品加工を行える工作機械やロボット、部品の精度を確認する各種センサーや計測器などが多数応募されていたことも今年度の特徴だった。しかしグッドデザイン賞は技術だけを評価する場ではない。人がモノと出会う時、まずは目や手でモノの印象を捉える。モノが持つ視覚的、触感的印象が私たちの心理に与える影響は大きい。いくらモノの性能が良くても姿形が悪ければ、それは使用者の心理的負担となり、モノが持つパフォーマンスを十分に発揮できないこともある。機能や性能は数値化できるが、感覚的な価値は数値化できないため、主観的な評価にならざるを得ない。デザイナー、工学研究者、キュレーターという分野が異なる複数の審査委員で審査する理由がそこにある。主観的な評価の範囲を広く取ることができるからだ。ソニーイーエムシーエス株式会社の基板実装機/検査機/印刷機SAXES(13G070638)は、その性能以上に機能性に裏打ちされた外観の美しさが4人の審査委員を魅了した事例の一つである。
応募対象が人や社会、環境に及ぼす影響も忘れてはならない。三井海洋開発株式会社の世界初の浮体式潮流・風力ハイブリッド発電システムSKWID(13G070691)は、それが係留される海上を漁場としている漁村の自立的な生活基盤の構築も視野に入れデザインされている。漁村で使用する電力を賄うだけでなく、発電システムの浮体は、舟の係留やレスキューの拠点、魚礁としても機能する。つまり発電システム本来の目的以外の効果まで視野に入れてデザインされている点が従来のモノづくりと一線を画している。当ユニットの応募対象に求められているデザインは、それぞれのプロダクトの高性能化、高精度化、高品質化、操作性の良さ、外観の美しさなどだが、すべてのモノやコトは直接間接的に関係性を持っており、デザイン対象の周辺も含め統合的にデザインすることが、当分野のプロダクツの更なる進化を促すだろう。

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ユニット9 産業/公共領域・事務、公共の機器設備のデザイン(柴田 文江 デザイナー)

オフィス用品、流通販売のための機器設備・公共の機器設備など

2013年の審査を終えて本ユニットで特出すべき点は、大型の事務機の飛躍的なレベルアップだったと言える。中でも秀逸だったものは、株式会社リコーの 「RICOH MP C8002SP/C6502SP, RICOH Pro C5110S/C5100S」(13G080728)で、これは筐体デザインとインターフェースが密にシンクロし、紙つまり時の操作がわかり易く表現されている点など、これまでのオフィス向け複合機を上回った創意と工夫がみられた。これら大型の事務機器が使い易さを向上させ、その上で美しい佇まいをまとっていることに、こらからの「働く環境」に対するデザインの手本をみたように思う。
もうひとつ、暮しの質の向上に大きな期待がもてそうだと思えたものとして、LEDを使用した照明を上げたい。照明各社ともにデリケートな調光機能や、光の色を変える機能などに注力した商品を開発いており、従来はあまり光の質にこだわりの無かった日本の暮らしにも、生活者のニーズを満たす商品の準備が整いつつあるのを感じた。
広視野角LEDを両面に配し、あらゆる角度からも見やすい「踏切警報灯/列車進行方向指示器」(13G080772)や、省スペースで収納可能なA4サイズの「非常用圧縮毛布」(13G080773)、クリップが表紙と一体化することで使いやすく美しいメタフィスの「クリップファイル」(13G080700)など、中小企業からの出展物の中にも積極的な提案と強いものづくり力が見られ、日本の産業を照らす明るい兆しのようで頼もしかった。
オフィスチェアーは例年に比べてみると環境に馴染みやすいものが増えたといえるが、更なるデザインの向上を期待する。
最後に、公共性とデザインのバランスについて、介護施設などで使用される家具や道具を未だに特殊なモノと捉えている感が否めないことは残念であり今後の課題として掲げておきたい。それらのモノも暮しの延長線上にある、豊かな人間性と日常をささえる道具としてデザインを考える必要を強く感じた。

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ユニット10 産業・公共領域の建築、施設のデザイン(千葉 学 建築家)

産業・公共領域のための空間・建築・施設

今年も例年に違わず、たくさんの応募作品があった。その一つ一つを、今年も丁寧に見させて頂いた。そして年々感じることだが、建築のデザインの質は、確実に高くなってきていると思う。かたちは実に綺麗に、そして端正にまとめられ、素材の扱い方にしてもディテールの納め方にしても、いずれも卓越した技量が発揮されている作品が多かった。その傾向は、今年はさらに顕著になり、審査対象はオフィスから工場、研究所、商業施設と多岐にわたっている。日本の街並みにとって、また働く環境にとって、これは大変好ましいことである。一つ一つの建築を生み出すために注がれたエネルギーの総量は、それだけで価値があるし、人の心を打つ。そしてその叡智の結晶は、文化の体現者ともなるのであるから、歓迎したい。しかし同時にこのような、言わば達成度を競うようなデザインの方向性とは全く異なる建築が力強く生み出されていることを実感したのも、今年の特徴であった。異国の地で、現地の技術や精度で建築のデザインを考えた作品、震災で立ち枯れした木材を使って生まれた建築、復興に必要とされているものを見極めて誠実に取り組んだ作品、従来のありふれた技術を応用して木造の可能性を拡張した技術など、いずれもが従来の意味で言う「美しさ」や「格好良さ」とは異なる指標を必要とする、新しさを感じた作品であった。こうした作品を評価する言葉を私たちはまだ持ち得ていないのかもしれない。しかしこれらの作品が生み出した壮大な物語、あるいは建築を介して生み出された交流は、建築にしかできない「デザイン」なのであるとも思う。このような建築が、静かに、しかししっかりとつくられ始めていることは心強く、また勇気づけられることでもある。このような作品群がグッドデザイン賞を通じて世界に発信されていくことを、この賞に関わる一人の建築家として誇らしく思う。

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ユニット11 生活領域・コミュニケーションと仕組みのデザイン(暦本 純一 ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者)

メディア・ソフトウェア、インタラクションデザイン/サービス・システム、コミュニティ活動、社会貢献活動

本ユニットは、デザインの中でもコミュニケーション・インタラクション・仕組み・サービスのデザインといった、従来型のデザインとは一見かなり異なった領域を扱っている。このようなインタンジブルなデザインの評価基準については難しいところであるが、グッドデザインの本来の理念である「くらしや社会を豊かにしうるデザインであるか」という観点においては、他の領域といささかも変わることはない。そこで、常にその原点に立ち戻りつつ審査を行った。
 まずインタラクションデザインについては、今では多くの商品の必須機能であり、見た目の美しさはもとより、インタラクションの明快さや機能とのバランス、細かなところにまで気配りがあるか、実際に使った上で確実な利便性があるか、などを主な審査基準とした。たとえばGoogleマップ(13G121007)は、毎日使う道具としての完成度が高く、画面遷移などが細部までよく吟味されていた。REGZAタブレット(13G121003)ではペンの書き味をハードウェア・アルゴリズム両面から追求し従来水準からの明確な改善があった。一方で、未来のインタラクションの可能性を切り開くような斬新な応募も期待していたが、今年度は、事例そのものは多くなかったものの、ウェアラブルな健康デバイスなどに今後の可能性を感じるものがいくつか見られた。
 仕組みのデザインでは、現実の課題をどう解決しているか、その課題の重要性と解決の効果、さらに今後の同種の活動への手本となり得るか、などを審査の基準とした。大規模・タワーマンションに置ける防災設備への取り込み、周辺住民と一体化した公園のリノベーションなど多くのよい仕組みの応募があった。ローテクを巧みに使いこなす仕組みの提案がある一方で、情報通信技術やデジタル技術をうまく取り込むことで仕組みの価値を高めている応募が多かったのも今年の傾向である。例えばソーシャルネットによって小規模な図書館を有機的に連携させる仕組み、旅行者と空き部屋の提供者を結ぶサービスAirbnb(13G120995)などがその好例である。さらにプロダクトデザインやサービスデザインとしてオープン性を取り込んだもの、たとえば回路図を全面公開したコルグの電子楽器(13G121053)や、モーションデータを公開し多くのユーザーの作品を呼び込むことに成功したPerfumeの事例(13G120990)などに、製造者/消費者という従来の区分けが再定義されていく可能性を感じた。
 最後に、今回本ユニットではレストランおよびその料理をデザインの観点から審査するという試みに取り組んだ。NARISAWA(13G121060)はすでに国内外のレストラン審査において高い評価を受けているが、独創的な調理手法を駆使しながらも自然を感じさせるプレゼンテーションは料理デザインの方向性を示すものであり、多くの食材を国内から調達する仕組みをデザインとしている点も特筆すべきものがあると判断した。

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ユニット12 産業領域・コミュニケーションと仕組みのデザイン(永井 一史 アートディレクター)

メディア・ソフトウェア・インタラクション/サービス、システム、ビジネスイノベーション、ビジネスモデル/ビジネスマネージメント、ブランド構築、CSR活動

グッドデザイン賞の役割は、時代に押し流されないデザインの美を評価していくと同時に、社会の変化を先取りしながらデザインの概念を更新し、再定義していくことにある。
昨年、グッドデザイン賞はデザイン評価の方向性として“仕組み”と“インタラクション”をテーマに掲げ、本年度からは新たにユニット11から13までの審査領域の規定そのものに「仕組み」という言葉が加わった。その変化はエントリーにも表れ、今まで審査対象として認識されず、応募されることのなかったデザインまでが加わり、応募に幅と奥行きが広がった。審査においては、常に対象の先にある、仕組みやシステムの持つ意味性や新しさを考察し、評価を行った。当ユニットからは、次世代産業用ロボット(13G131079)から、キャラクターを活用した地域プロモーション(13G131101)、産業廃棄物の再価値(13G131078)、大規模な会議のコミュニケーション(13G131100)、新しいビジネスモデル(13G131099)など、多数がベスト100に選出された。受賞対象は一言で括るのは難しいほど多彩で力のあるデザインばかりである。
このユニットでは、コンシューマー向けではなくB to B to Cであること、ハード/モノだけでなく、ソフト/コトも含んでいること、既存のものより、イノベーティブなモノやサービスが多いことなどが特徴である。社会構造や産業の変化に伴った、デザインのこれから向かうであろう、さまざまな方向と可能性を内包したユニットとして、今後も意欲的なエントリーを期待する。

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ユニット13 公共領域・コミュニケーションと仕組みのデザイン(中谷 日出 映像アートディレクター)

メディア・ソフトウェア、インタラクションデザイン/サービス・システム、社会貢献活動、国際貢献活動

ユニット13は「公共」がキーワードである。本年度の審査対象はその公共における様々な取り組みがデザインされ応募された。そしてその内容は、例年に比べ全体の水準は上がり、コミュニケーションという本審査ユニットのデザインテーマを深くそして鋭く捉えた作品が並んだ。
私たち審査委員がその高水準の審査対象の中からグッドデザイン賞を選出する重要な基準のひとつに時代性がある。時代が求めるデザインであるか?さらにその作品が時代を牽引し新たなコミュニケーションデザインの地平を切り拓くものであること、それが私たちの考える時代性だ。本年度この審査ユニットからグッドデザイン賞に選出された作品のすべてがこの要件を十分に満たし、さらに公共とういう領域の中で高い独自性(オリジナリティー)を持っている。
近年、デザインに対する考え方はテクノロジーの進化なども含め大きく変容している。ただ美しく完成度の高い形をもつ作品というだけで評価されるのではなく、その仕組みが重要なファクターになっている。この仕組みは、表に形として現れないことも多いが、そこにグッドデザインが内包されている。今年の審査ではそのような作品を積極的に評価した。
最後に本年惜しくも選出を逃した作品に対して申しておきたい。さすがにグッドデザイン賞に応募される作品は一次審査の結果からもわかるようにレベルが高く、全く水準に満たない作品はほとんどないといっていい。では、選出作品と惜しくも選出されなかった作品との違いは何だったのか?要素は多々あるので一言ではなかなか表現しづらいが、あえていうと先にあげた時代性と独自性を背景とした新しい仕組みやコミュニケーションデザインへ挑戦する気持ちの強さに他ならないと思う。

今後、挑戦する作品が本ユニットにさらに増えることを期待したい。

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ユニット14 公共領域・街づくりのデザイン(南雲 勝志 デザイナー)

街づくり、都市づくり・社会基盤、プラットフォーム

我々は高度成長期とは全く違う、地に足のついた地域の価値観の変化が加速度的に進んでいく状況を今感じている。 今年の応募は、新たにものをつくるといった事より、元々その地域がずっと以前から持っていた地力や魅力、伝統技術、またすでにある施設を再認識や再構築し、今に見える形に編集し、地域にとって無くてはならない形に昇華させている作品が多いことが大きな特徴であった。これは経済の低迷、大震災から続く本質的なものへ回帰の影響は大きい。

ベスト100に選出された、福島県喜多方の歴史的登り窯の再生「三津谷煉瓦窯再生プロジェクト」(13G110960)、淡路島での地域雇用創造推進事業「淡路はたらくカタチ研究島」(13G110958)持続可能なライフスタイルデザイン手法の「90歳ヒアリングを生かした街づくり」(13G110969)、地域づくり、コミュニケーション活動「ワインツーリズムやまなし」(13G110957)などをはじめ、より具体的にそこでしかできないアイディンティティや活力の源といったものに価値観が移行している。 これは日本だけでなく、経済的に先の見えない状況が短期的ではないと感じている先進国に共通の出来事のようにも思える。数年前には考えられなかったが、これは多分、供給側よりもユーザー側がそれを敏感に察知し始めたからであろう。公共分野において行政、いやメーカーも含め、その変化の大きさをもっと敏感に感じる必要があるだろう。時代は明らかにそして急速に変わりつつある。

一方で我々の生活の根底となるしっかりとした技術に裏付けられたインフラ整備も目を引いた。都心におけるコンパクトで環境や地域に配慮した、首都高速「大橋ジャンクション」(13G110951)や、老朽化した下水道管における「スパイラル自動製管管路更生工法」(13G110950)、柏の葉スマートシティ「エリアエネルギーマネジメントシステム」(13G110970)など、見えない部分こそ、今までに無い新たな技術を結集する必要があるのではないか。

長い歴史から考察された地域ならではの価値観、本質を見極める洞察力と哲学的観点と先端技術、それらを緩やかに融合するところに無理の無いこれからのデザインの姿が見えてくる。そして忘れてならないのが、高齢者が気持ちよく生きられる事、若者が希望と未来を感じられる社会をいかにつくれるかである。

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韓国審査ユニット(渡邉 誠 インダストリアルデザイナー)

本年度で2回目となる韓国審査であるが、本年は昨年とは全く異なる形相であった。まず、第一に、昨年度よりも受賞率が飛躍的に上がったことである。そして、第二に、受賞対象の80%近くがテレビ、スマートフォン等に代表されるデジタル機器であったことである。ライフサイクルの短いこれらのデジタル機器の新たなる世代(エラ)を感じさせる審査であった。特にUHD TV(13G050552)、Curved OLED(13G050550)などは、単に技術だけあるいは奇抜なデザインだけに特化することなく、技術とデザインの融合がなされた機器が多く存在し、そのほとんどが受賞している。逆に、インターフェィスデザインはやや低調であり、今後の新たな技術開発による革新が望まれる。これは韓国だけの課題ではなく、逆に今後も継続的にデザインの革新が期待できる領域であると言えよう。

また、昨年度まではなかった傾向として、家庭用品が17点受賞していることが上げられる。これは、現地審査により、韓国の中小企業等からの申請が増えることにより、家庭用品などの対象が受賞することができたと言える。海外審査の一つの目的である、新たなデザインの発掘をすることができたのではないかと思っている。

このような多様な対象を審査でき、とても良い審査ができた。さらに、これらの審査過程において、デザインの広がりを改めて認識するとともに、考えさせられる審査でもあった。

今後も韓国のデザインがグローバルに発展することに期待したい。

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台湾審査ユニット(渡辺 弘明 インダストリアルデザイナー)

「釣り合いの美」まさしく周りとの関係によってその価値や美しさを理解するという意味を実感した昨年の1度目の台湾での現地審査であった。引きつづき今年は現地審査委員を3名に増やし総勢5名での厳格な審査が行われた。
台湾と言えば情報機器という印象が強く、今回もこの分野が受賞の半数近くを占めている。台湾メーカーはかつて欧米や日本へのOEMにより国際的に通用するクオリティを会得し、世界の工場・中国の元請けとしても機能している。現在ではオリジナルブランドにより地位を確立したメーカーも少なくない。スマホではINFOBAR A02はFIC製で、日本の通信キャリアからの難易度の高い要求をクリア、物作りに於いてのレベルの高さを示している。また、本年も質、量ともに圧倒的とも言える存在感を示したAsustek社は、PC・タブレット及びその周辺機器の主だった機種に於いて、ミニマルで質感の高いデザインを達成している。パワーユーザー、ゲーマー向けのPCやマザーボードでもそれらが持つパフォーマンスをダイナミックに表現し、ユーザー指向のデザインを実現している。総じて、異なるユーザー層や拡大する市場に適切なデザインを供給出来ていると言える。
他に審査委員の評価が高かった物として、中国の有名な諺に由来するフォルムを持つFoFoCup(13G020190)と呼ばれる折りたたみ式の飲料カップがある。ポリプロピレン樹脂の特性を生かし10000回のリユースにも耐えられるという。使用時は無論、畳んだ状態でも美しくその後のリサイクルも可能としている。このFOLDnFOLD Engreeneering社の製品を含め、住宅設備、陶器製の茶器など食器及びそれらのパッケージなどにも多くの受賞が見られる。これらの分野には台湾独自の文化を感じられる物が多く、無国籍なテイストを有する情報機器に対しての対局と言える。審査会場では大きく二分された感が否めず、まるで違う時代を行き来しているような錯覚さえ覚えたが、結果として選ばれた物はそのどちらともが正当な台湾プロダクトであり、適正なデザインであった。今後それらが台湾インダストリーの両極として「釣り合い」相互的な作用により、その中間に位置する新しい何かが生まれる予感がした。

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香港審査ユニット(ムラタ・チアキ プロダクトデザイナー)

香港審査は、香港および要望のあった中国からの応募対象に対して、本年より実施された。香港のデザイナー2名、日本のデザイナー2名の4名で、香港での現地審査にあたった。
まず、今回の審査方針として、今年の審査テーマである「関係の美、釣り合いの美、全体の調和」のように、ひとつの商品がどう周辺と馴染んでいくのかを話し合い審査を行った。たとえば、自転車に付けるブルートゥーススピーカーは、この実機と人と自転車との関係性を考察し、レンジフードの場合はキッチンに立つ人とレンジフードとの人体パラメーターを考慮に入れて、不具合が派生しないかなどを見極めた。時間軸上で人がふるまう動きを考察する「行為のデザイン」を考えることによって、「単体のモノ」のみから関係性へと評価軸は拡がっていき、正しいジャッジができると考えている。
次に、単体のデザインに注目したとき、ひとつのフォルムの中に、異なる造形処理のルールが見られ、個体としての統一感に欠ける製品が目立った。製品を構成するそれぞれのパーツやグラフィックが、別々な個性を持って主張しあい、調和が取れていないのだ。こういった商品は、空間の中にあっても他のアイテムとの調和が難しく、雑音になってしまうので不通過とした。また、デザイン性を主張するために、安全性や使用性を犠牲にしているものも多かった。しかし、逆に考えると「デザインで特徴を生み出していこう、アピールしよう」という意識が非常に高く、着想の独創性を可視化することに注力しているようにも思える。こういった着想の表現プロセスは、表面処理技術、UIを含めたグラフィックデザインなどの完成度も高いことから、ひとつの商品の中での「調和」を目指すことで、素晴らしい独創的な商品を生み出す力にもなりうると感じた。

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タイ・デザインエクセレンス賞との連携応募に対する審査(五十嵐 久枝 インテリアデザイナー)

タイからのグッドデザインへの応募は、タイデザインエクセレンス賞2013を受賞したものがエントリーする規定となっている。今年度は、家具・ライフスタイルプロダクト・ファッション・インダストリアルプロダクト・パッケージ・グラフィックデザイン分野からのエントリーがあった。

今年度でタイのデザインエクセレンス賞は、6回目となる。昨年度は家具の応募が約半数を占めていたが、今回は1/3となり、その他が着々と増えてきている。まず、全体的に技術の進歩が加速されていることに驚いた。家具については、アルミニウム金属加工の優れた技術がデザインに自由度を持たせている。椅子では、金属と異素材や木材と異素材の組み合わせに、タイの熱帯気候とモダンデザインを掛け合わせ親しみやすさをもたらす良質なデザインが見られた。グローバルな中にタイらしさがバランス良く存在している。文房具はカジュアルと静謐が同居し、見せたくなる、使い勝手の良いデザインを実現していた。素材選定も自然素材、リユース、リサイクル品を積極的に使える環境が整っていて好ましい。家具や生活雑貨はグローバルな展開が発展を加速させていることが伝わってきた。グラフィックデザインとパッケージデザイン、インダストリアルプロダクト、ファッションデザインはまだ少数であるが、今後の成長が期待できると確信を持った。

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応募企業等の要望に基づく審査・新潟会場 審査ユニット(山本 秀夫 プロダクトデザイナー)

今年からの試みとして、応募の数が集中している地域に出向き審査する出張審査を行いました。金属加工において世界に名を轟かせる燕三条です。
工具製造の技を転用し、美しい調理道具に仕上げられた「角利製作所・鰹節削り器/鰹音(13G020179)」、元々は退職者への記念品としてつくり始めたという「マルト長谷川工作所・ペンチ三兄弟(13G010048)」、新機能を持つ工具「旭金属工業・キャッチャーレンチ(13G070613)」、「兼古製作所・ネジ取りビット(13G070615)」、「スノーピーク(13G010132)(13G010125)(13G010128)(13G010129)」のアウトドアライフの新しい提案の数々が印象に残りました。
なかでもベスト100に選定された「富田刃物・刈り払い機用回転刃/トミタディスク(13G080768)」「燕三条地場産業振興センター・燕三条「畑の朝カフェ」(13G131103)」は特筆すべきものです。「トミタディスク」の使うほどに刃が仕立てられるという驚愕のアイデアと、これを見事にものにした開発力は高く評価されました。前例のない困難な様々な加工を、この地が持つ技術を結集して実現させています。一方、「畑の朝カフェ」は、やはりこの地ならではの資産を巧みに活用し、農、工、商業を見事に連携させたしくみのデザインが高く評価されました。
今回は工具からアウトドア用品、サービスまで幅広いジャンルの出品があり、燕三条がものづくりの技と、これを編集する技術が同居する希有な土地であるという印象を与えてくれるものでした。

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